・第3話 全員合格が始まった2年目
安達(A):1年目のかなりなご苦労はわかりました。そうすると、2年目に向けては合格実績とかアピール材料をつくって、次年度につなげなければならないですよね。受験生の頑張りはいかがでしたか。
長山(N):最初の中3生1名は残念ながら不合格でした。新学期生の募集の方も4月に中3と小6の兄弟の入会があったものの、在籍数は6名という状況でした。相変わらず危機的状況のままでしたよ。
(A):……、う~ん、なんと申しますか、きっ厳しいっていうレベルではないですね。
(N):とにかく一生懸命指導するしかないと必死に指導続けました。しかし、あまり長時間拘束してスパルタ式の授業を行ったため、中2生の1名が5月退塾です。
資金はいよいよ厳しくなり、チラシを打つこともためらわれるくらいに追い込まれました。
(A):な、何か打開策はあったんですか?
(N):仕方がないので,塾生全員に頭を下げて、友人の紹介を依頼したところ。一人の中3生が2名の友人を、期末試験対策講座に2名の友人を紹介してくれました。彼は、そのまま入塾してくれました。
涙が出るほどありがたかったですね。
もう一人の中3生は4人の同級生を夏期講習生として連れてきてくれました。中1の基礎もできてないような生徒が3分の2だったのですが、とにかく必死に授業しました。
(A):そういたしますと、塾生たちのおかげで、なんとか夏期講習生の頭数がそろったということですね。でも、そのころは先生お一人でしたから、指導面ではご苦労なさったでしょうね。
夏期講習に集まった中3は、合計9名になりました。講師1名で個別指導で回せない状況になったので、6名までのグループ指導で授業を展開します。
ところが、その生徒たちから
『理社科の授業のレベルが高すぎる!』
とクレームがついたのです。どんな授業をしていたかというと、自作の穴埋めプリントで知識の抜けを見つけ、簡単な補足説明をして受験問題集に進む方式です。
つまり、ある程度知識があることを前提にした授業でした。あとで、模試の結果を見てわかったのですが、この9名のうち6名は、500点満点の模試で100点台半ばから後半というレベルだったのです。
答案はどの教科も20点台から30点台、特に、英・数は中1の段階からできていなかったのです。このほかのできる方の3人でも、基礎学力は心もとなくて、全く想定した指導レベルが高すぎたってことです。
ここで授業のスタイルを変えることにしました。
『とにかく基礎の徹底を。』
に方針を変更したのです。
(A):「基礎の徹底」と一口に言っても、さまざまな方法がありますよね。具体的にはどんな感じの指導をなされたのですか。
(N):一言でいうと、
「合法的かつ有効なことなら、どんな大変ことをしてでも成績を上げる。」
ということです。
指導グループを組み替え、下位の学力のグループには集団塾のように、ホワイトボードを使って講義をしました。
ただし、記憶容量が、今まで経験したことないくらい小さいため、極限まで記憶すべき内容を絞り込んだ板書を組み、まずそれをノートに丁寧に写させたのです。
なにせ、彼らには、初めノートをとる習慣はなかったものですから…。
そして、そのノートの中に書いてあるのと全く同じ事を1問1答プリント→定期試験レベルの演習問題プリント→受験問題集の基本問題の順番できちんとできるまで何度でも繰り返します。
こういう時、何回でも類題演習が何度でもできる吉備システム(メビウス)はとても便利でしたね。既存の教材ではレベルが合わずに困ったときは、補助教材をメビウスで自作しながら授業を続けました。
(A):なるほど。理社科の対応として、かなり工夫されていますね。他の教科、国英数とかトータル的な指導計画も工夫なさったのではないですか。
(N):英語・国語は長文読解練習をさせようとしましが、この年はうまく行かなかったですね。
しかし、数学の基礎計算練習の反復と、この授業で、数学は平均で10点、理社はそれぞれ15~20点、トータルの点数も40点くらい上がってくれました。それで何とか形になる成績へと変貌してくれましたね。
(A):それはすごいですね。そうすると。生徒たちの中にもかなりの意識変革があったのでしょう。
(N):短期間に力がついているのがわかったらしく、夏休み中は野獣の軍団(笑)のようだった生徒達も、一生懸命に塾に通ってくれるようになりましたね。
学力の大幅に不足な彼らのために、この年は3時間×週3日の受験対策講座というメニューをつくりました。
自分としても大手塾時代を含めて初めての試みでした。
「勉強時間が全然足りない生徒には物理的限界まで授業を入れるしかない!」
と、目一杯補講をしましたね~。学力は低いが、幸い頭の悪い生徒ではなかったため、目覚しく成績を伸ばす生徒が複数出てきました。
生徒たちのおかげで元気になりましたよ。
その後、この生徒たちの友人の中3生3人が入会し、生徒数15名。ここで初めて単月で売り上げが運営経費を上回りました。ようやく、経営にも光が見えてきたのです。
(A):いや~、よかったですね。と、いいますか、その時の頑張りがなければ、2008年のこの場所にはStudy Gymは存在してないですよね(笑)。
……気まずい沈黙が3.4秒ほど……
失礼しました(汗)。さて、その基礎を作ってくれた生徒たちの進路状況はいかがでしたか。
(N):おかげさまで、この年の中3生は全員合格です! そして、この年から受験生全員合格の伝統が始まったのです…。
(つづく) 次回は、運営方針と父母対応の狭間を描く3年目編です。
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