昨日、「羊蹄学園大学」の佐山教授と久しぶりにお話ししました。彼も今回のボーダーラインの混乱を憂いていて、当サイトの動きを大変評価していただきました。佐山教授、ありがとうございます。
佐山教授も、今後の北海道の教育に関して、今回の新制度入試を通じていろいろと考えるところがあったようですが、その辺はいずれ彼のサイトで論評する機会もあるでしょうから、僕の方では特にふれないことにしています。
さて、3月6日付“北海道新聞札幌圏地方版”の記事には、気になる内容が記載されていました。学校関係者の意見として、次の内容が掲載されています。
学校の授業は、裁量問題のための授業はできない。限られた時間の中でどれだけ理解を深められるか。
情けない話です。公教育は、すでに責任を放棄したとしか思えません。いかに裁量問題が難しかったとはいえ、あくまでも現行の指導要領の範囲内の出題です。
それに向けた指導をできないと公言するということは、北教組に毒された北海道の学校教育にはもはや何一つ改善はできないという悲しい現実を突き付けられているのです。
僕自身、学校教育の限界を若い時分に認識し、私教育に身を投じたわけですが、それにしてもこれほど公教育が無力なのかというのには、もはや絶望しかありません。
ただ、ここで皆さんに訴えたいのは、裁量問題が本当に過激な難問であったのかということです。ここで僕が懇意にしている首都圏の教育事情に詳しい天流仁志さんの寄稿文をご紹介します。(天流さんのブログへは「ここ!」)
確かに去年までの北海道の問題と比べれば大幅な難化のようですが「裁量問題」を含め、首都圏などの塾で扱う内容に比べれば特に難しいといえるような出題ではありません。
いくら学校や塾では成績がよくても応用力に欠け、少しひねった出題になると途端に解けなくなってしまうという北海道の教育における問題点を如実に示していると思います。
また、「時間切れアウト」になってしまった生徒が多いとの分析もあり「ゆとり教育」により全国的に問題になっている時間へのルーズさが現れたのではないかとも思われます。
難易度調整に失敗した出題側や、分析ができなかったテレビへの批判が出ていますが非難されるべきは教育委員会をはじめとする関係者がほとんどの中学生の学力をこの程度の問題にも対応できないレベルにしてしまったことではないでしょうか。
また、私が特に処理速度の遅さを問題視するのはセンター試験をはじめ大学入試では年々スピード重視の出題が増加しているのに対して高校生の計算や読解が恐ろしいほどに遅くなっているという現実に苦労させられているからです。
センター試験でも国語、英語、数学で「時間切れアウト」になってしまう受験生が多く、特に今年は分量の増えた国語で多かったので公立高校の入試問題でも同じ現象が起きたと言えます。
道コン事務局ではありませんが、高校入試の時点でそれを体験できた今年の受験生は幸せなのかもしれません。
首都圏の生徒なら中学受験や高校受験を通して、あるいは名門校や塾の指導により鍛えられていることも多いため、そういった教育を受ける機会がない地方の生徒との格差は相当なものになってしまっていると考えられます。
知識が足りないのを補強することはそう難しくありませんし、理解力不足もこちらの技量でカバーすることは可能ですが、長年の「ゆとり」環境で染み付いてしまった処理速度の遅さを改善するには継続的な訓練が不可欠です。
僕を含め、北海道で幼少から育った多くの方々には、この天流さんの感性には、驚きをもたれるかもしれません。しかし、だからこそ北海道は、教育後進地域であると認識せざるを得ないのです。
いわば、あの程度の問題であわてるような子供たちを育てた、公教育・私教育双方の責任です。
今回の改訂ボーダーラインの策定にご協力をいただいた、ある塾の塾長さんはこうも申していました。
そもそも、大手塾があの程度の甘い認識でボーダーラインを作成したり、本番で混乱する生徒を続出させた低レベルの指導を行った背景は、首都圏の指導レベルをまるで認識していないものが、大手塾のトップに君臨しているからにほかなりません。それは、悲しいことです。
首都圏の子たちは、北海道の子供たちを評して、こういいます。
「小学校・中学校と自然に親しみ、遊びぬいた連中が、過激な学習環境を過ごした僕らと同列の成績を取れないことを疑問に思うことなど間違っている。」
辛辣な言い方に聞こえるでしょうが、これが素直な感想なのです。そのような、ぬるい子供たちを育て続けた北海道の教育関係の人々には、大きな意識変革が必要でしょう。
実際、この塾長さんの塾では、昨年来の指導の延長線の中で、塾生たちは入試で高得点を納めています。意識が北海道の塾業界に深くはまってきた人々とは全く違うのです。
R会やHZ会に代表される、北海道の塾の意識の低さは、首都圏の指導内容を知っている方々には嘲笑を与えるだけの存在かもしれません。あの程度の問題にすら対応できなかったレベルの指導内容だと非難されても仕方ないでしょう。
北海道を、いや全国を動かせるような人物を北海道から輩出するには、今の子供たちの教育にかかわっている方々すべてが危機意識を持って、真の指導を目指さねばならないはずです。それに向けた行動をすばやくできる学校・学習塾が今後の北海道には必要です。
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PS.最近になって、この「北海道の塾考察」の読者になられた方も多いように見受けられます。北海道の私教育の実態に関しては、当HPの前任者である藤井文夫が主にしるした「第1部 道内学習塾の生き残り戦争」が詳しいです。時間に余裕がありましたら、左の項目リストより、第1章~第10章の順で目を通していただければ幸いです。