前回から、ちょっと間があいてしまいました。まあ、前任者のようにまめに2~3日おきに更新することはちょっと難しいので、その辺はご理解ください。
さて、昨日2月13日は、前回自殺の記事を掲載した中3男子生徒の命日だったのです。その日、実は僕は小樽に取材に行っていました。彼が命を失った朝里駅近くの踏切付近も通過しつつ、さまざまなことを最終的に確認してきました。
その少年、仮にY君としますが、中1まではN進学スクールに在籍し、中2以降はN進学スクールの小樽教室撤退を受けて、小樽R会へと転塾したそうです。
中1当時に指導した方に伺ったところ、Y君は授業中に私語をすることは一切なく、どちらかというと目立たない寡黙な性格だったとのことです。ただ、一瞬垣間見たしぐさから、繊細な部分をもっていたようです。
ところで、事件のあった2005年2月13日は日曜日です。この日は、R会では中3生対象の「第3回入試直前ゼミ」を本校および朝里教室でも実施していました。
「入試直前ゼミ」は、R会が作成した入試予想問題を30分で解き、30分で各教科の担当講師が解答解説するゼミです。5教科終了後、自己採点表を講師に提出して終了というわけなのですが、Y君は提出後に回収した講師Fから何らかの苦言を浴びせられたのです。
何を言われたか、詳細までははっきりしませんでしたが、講師Fとしては励ますつもりで厳しい口調でいったことがY君にはショックだったのです。
そして、受験に対する希望を失ったY君は午後6時ごろ、レールの上に立ち、自らの命を絶ったのです。
このようなテーマは、本来なら第1部で扱うべきことなのですが、あえて第2部で掲載したのは講師の心ない言動が教え子の命を奪った点に着目したためです。
Y君に罵声を浴びせた講師は、学生アルバイトではなく教科主任クラスの社員講師であったということです。熟練の講師が、受験直前の不安定な中3生の心情を軽視して不用意な発言をすること自体、大変信じがたいことです。
刑法上は罪は問われないでしょうが、これは言葉による殺人としか思えません。非常に許しがたいことです。
講師の言葉というものは、生徒の将来に大きな影響を与えます。的確な励ましが生徒の開眼につながることもあれば、この事件のように命を奪う結果にもつながる、いわば両刃の剣です。
前々回から記載しているように、講師というものは、その心に闇があれば無意識に不用意な発言をすることがあるのです。ネットで荒らし的な中傷をするような講師は、この事件の社員講師と同類です。現に、心ない書き込みで前任の藤井は、余命を奪われたのですから…。
僕の個人的な見解として、あのときに書き込んだ学生講師には猛省し、講師として生徒の前に出る資格がないことを自覚して辞してもらいたいとも思っています。彼は、この事件のようなことを起こす要素を持っていることを否定することはできないでしょうから。
ここで、講師の問題点として浮かび上がるのは、短絡的な結果主義という問題です。塾講師の中には、受験で合格させることだけが責務であって、その生徒の将来のことは二の次と考えるものが多いという嘆かわしい現状があります。
その場、その場の自分の授業に酔い、テストの点数を伸ばすことだけに執着する。結果を出せれば、自分は有能であると勘違いする。そして、受験が終了したら責務は終りと認識する。あたかも、営業成績が追及されるサラリーマンのような振る舞いです。
彼らは、教え子たちの将来をどう考えているのでしょうか。たとえば、点数の取り方だけを教わった生徒は、高校で自学できずに埋没するケースがあります。
「わからないことがあったら、高校部に通塾すればいいんだよ。DVD授業が待っているからね。」
というのは、あまりにも商業的じゃないですか。まるで、自学力を奪って更に3年間分、授業料を搾取する存在をつくっているだけでないでしょうか。
学校の教員であれ塾の講師であれ、先生と呼ばれる方々は、生徒の数十年に及ぶ人生に多大な影響を与えながら指導していることを理解しているのでしょうか。あまりにもその場しのぎの先生が多すぎます。
手前味噌ですが、僕が塾講師をしていたころの教え子に、名古屋大学法学部をへて准教授になった生徒がいます。彼は僕が未熟だったころの教え子なのですが、今でも付き合いがあります(年賀状程度ですが)。
その彼から10年ほど前にもらった書状に、次のような記載がありました。
「先生とよく雑談した日本の法制度の問題点、あれが私を法曹界へと導いてくれたのです。先生の何かを変えてほしいという願いを私がなせればと考えています。」
講師冥利につきる一言でした。偉そうに言うつもりはないですが、このように生徒の将来に良い影響を与えることこそ講師の本当の仕事でないでしょうか。
また、塾に子供を送り出す親御さんたちにも一言いいたいですね。合格という結果だけを求めて塾選びをすることの危険性を認知してほしいということを。
せっかく受かったのに、高校の授業についていけずに中途で退学する生徒が、30年前の数倍になっている現状を考えてほしいものです。将来を見通せない塾を選んで通わせた親御さんにも責任があります。
生徒の将来をどのように考え、どう精神的に高める指導をしているのか。これこそ21世紀に求められる真の講師像でないでしょうか。
最後に、自殺した生徒を指導していた塾の話で今回は結びます。その塾の地区本部長は、事件の責任を取って更迭されたようです。では、後任者がそれを払拭するように真摯に活動したかというとそうではないようです。
昨日取材した複数の塾から、「R会は今でもうちの悪口を生徒に吹き込んでいるのですよ。」との発言をいただきました。
第1部にも書いたように、生徒に悪口を吹き込む塾に高い精神性を求めることは無理な話です。悲劇が繰り返されないことを祈るばかりです。
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