★公立高入試、社会で出題ミス 道教委 採点見直し 受験生救済も
道教委は7日、今年3月に実施した道内公立高入試の学力検査で、社会の問題に出題ミスがあったと発表した。採点をやり直した結果、不合格者のうち1人が合格ラインに達していたことが分かり、希望に応じて入学できるよう救済措置を取る。道内公立高入試で、入学後に出題ミスが判明したのは、記録が残る1984年度以来、初めて。
出題ミスがあったのは、社会の大問3の問4(1)で、「わが国では、直接税のうち所得税や住民税は、所得がふえるにつれて税率が(ア・高く、イ・低く)なる」という選択問題。道教委は正解を「ア」としたが、住民税は2007年6月の税制改正で一律10%の定率制になり、問題が成立せず正解がないことが分かった。
ミスは9月下旬に外部から指摘されるまで分からなかった。道教委が問題を作成、点検する基とした教科書と子ども向けの国税庁ホームページがいずれも改正前の税制を記載したままで、誤りに気づかなかったという。
配点は、米国などの税の直間比率を問う問4(2)と合わせ、二問とも正解していれば二点だが、出題ミスの判明で、(2)のみ正解でも二点を与えることにした。道教委が学力検査で合否を判定した122校で確認したところ、受験生約2万8000人のうち88校の495人に2点が加わることになった。この結果、1校の1人が合格となった。
道教委はこの本人と保護者に謝罪。希望すれば合格者として入学を認めると伝えた。採点見直しで合格順位が変わる事例について、合格者を不合格とする扱いは行わない。高校教育課の田端明雄課長は「税制改正に対する点検が不十分でミスが出た。受験生や保護者など多くの皆さまに迷惑をかけ、おわび申し上げる」と陳謝した。
出典:『北海道新聞』2008年10月7日付
この記事に関しては、複数の問題をはらんでいるので、項目別に論評します。
(1)なぜ、9月のこの時期まで発覚しなかったのか? 誰が気付いたのか?
仮説ですが、2通りあります。1つは、北海道教育委員会が『平成20年3月実施公立高等学校等入学者選抜状況報告書』を公開したのが9月であったことです。実際に配布された時期は定かではありませんが、HP上のPDFファイルでは9月17日にアップされています。
このデータおよび入試問題を検討した外部の者が指摘したということではないでしょうか。
もう1つの仮説は、大手学習塾の冬期講習用受験教材の締め切り時期が10月の上旬ごろに設定されているということから、作成スタッフの誰かが気付いたということではないかということです。
いずれの仮説にしても“外部からの指摘”という歯切れの悪い表現から学校教育の関係者ではないことだけは類推できます。かなりの確率で、気づいたのは塾などの私教育関係者でしょう。
(2)作成または実施段階でミスをチェックすることはできなかったのか?
公立高校入試問題の作問は、指導主事(学校教員経験者)による専門委員会によってなされ、2重3重のチェックののちに問題として利用されます。それでも、ミスが防げるかというと否です。新聞に記載されている1984年以降でも少なくとも4件の解答や問題の訂正がありました。
では、そのミスは誰が気付いたかというと、当時の記事では学校教員であったことを記憶しています。塾関係者がミスを指摘したことはなかったのかというと、そうでもないようです。
練成会グループで勤務していたA君によると、当時STVで放映されていた入試速報のサポートスタッフであった教科責任者は、毎年のように道教委に問題の設定上の不備を指摘していたそうです。
しかし、道教委は外部の指摘に対しての対応は真摯でなく、悪く言えば「学校現場でもない者が何を言うか。」というニュアンスの対応しかしなかったそうです。
今回は、学校現場から指摘がなく、たぶん塾からの指摘であったことが発覚を遅らした一因ではないでしょうか。
(3)塾側の指摘がなぜ3月にできなかったのか?
HBCの進学会やTVhのニスコの教務スタッフに期待すること自体、無理な話です。道教委から配布された問題や解答を儀礼的に解説し、どちらかといえばボーダーラインの設定に賭けている2社ではできるわけがありません。
このような指摘ができる塾は、道内では練成会グループだけだったでしょう。しかし、数年前からSTVの入試速報からは降板しているわけですから、現場の自己採点会のみで講師が対応する環境では、できる環境にはありません。
いずれの塾も、入学試験終了後は、入試問題を数か月省みないのです。その時期を逸したら、ここまでずれ込んでも仕方ないでしょう。
(4)道教委はどこまで救済する気なのか?
ただ入学を認めるだけでは、不十分でしょう。10~11月までに支払った私立高校の経費を保証する金銭的な賠償はもちろんのこと、その生徒の学力的な保証もすべきです。
あってはならない事件であることはもちろんですが、道教委の排他的な体質が発覚を遅らせたことも反省すべきです。このような公教育のだらしなさを補完するのが私教育であることを認識して、耳を傾けてもらいたいものです。
私教育側にも課題はあります。ちょっとでも教材研究を深くやっている講師ならば即座に気づくようなミスを半年も指摘できなかった体制には、反省すべきです。これは、分析力にたけた講師を数多く退職に追い込んだ会社の姿勢に問題があるからです。
だらしない公教育を補完することが私教育の存在意義なのですから、初心に戻って行動してほしいですね。
なお、この件を手柄としてチラシ広告等で大々的なアピールをする塾があったなら、「恥知らず!」という言葉を声高らかに浴びせてあげましょう。