言うまでもないことですが、とかく公立学校の先生という人種は、塾(私教育)を敵視することを趣味にしています。
その根拠としているのは、『教育基本法第4条』です。法律を読むだけで頭が痛くなる皆さんに(私もですが)、ちょっと読んでもらいましょう。
▲教育の機会均等(4条)
- すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
- 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
- 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
ようするに、公教育側(教員)は、経済的な理由で塾に通える生徒と通えない生徒が存在すること自体許せないということですね。では、3項目のように奨学の措置を塾に通うためにするのかというと、それも違います。3項目は、あくまでも高等学校・大学のように義務教育以外の上位学校に適応されるものです。
つまり、中学生の段階では、中学校へ通学する以外の経済支援はなしで、自由選択の教育である私教育(塾)は存在を認められないということなのでしょう。
確かに、1980年代までは、文科省も私教育の存在を認めていませんでした。しかし、15年ほど前に文科省は学校外教育として塾(補習塾)の存在を認めたのです。
「ゆとり教育」の1つの頂点である現行の学習指導要領は、学力低下の元凶として連続的な非難を浴びてきました。根幹にあったのは「すべての生徒が100点を取れる内容だけを指導に盛り込む。」ということです。
ちょっと待ってください!! て言うことは、120点とか、200点分の知的好奇心のある生徒も100点分に押し込めるということですか? それって可笑しいでしょう!
教育の機会均等は、すべての生徒が教育を受けることができるということであって、受ける内容まで同一とは言ってないはずです。公教育が、知的好奇心を満足させることができる生徒個々への対応ができるなら、百歩譲って認めてもよいですがね……。
逆に、100点を取れないレベルの生徒へ、何かやっているんですか?学力差を縮めて、すべての生徒が達成目標を満たすことこそ教育の機会均等ではないですか!!
“夜スペ”の議論を始めるには、まず私教育の存在を肯定しなくては始まりません。
公教育の場では、学力格差の解消や知的好奇心の充足はできるわけがないのです。それを日教組は認められないのです。だから、別記のような愚かな声明を悪びれずに出せるのですね。
反対のための反対は、支持政党の「日本共産党」ですら止めたことですよ。まずは、私教育(塾)の存在を認めてから、日教組および下部組合は“夜スペ”の是非を議論してほしいものです。
※東京教組の声明文は、「続きを読む」に入れました。読みたくない方々は、読むのをやめましょう。
杉並区立和田中学校の私塾との連携の実施について
マスコミでも大きく取り上げられた杉並区立和田中学校の「夜スペシャル」(通称「夜スペ」)は、①大手進学塾の講師による有料の授業を公立学校で行う ②中学2年の成績優秀者のみを対象に国語・数学・英語の三教科を教える ③月・水・金曜の夜間と土曜の午前中で、月額受講料は平日コースが1万8000円、土曜を加えた週四日コースが2万4000円という内容です。東京教組は1月17日、私塾が公教育に参入することは公教育の破壊であるとの見解を発表しました。
東京都教育委員会は文書で、学校施設を特定の私塾が使用して料金を取り、教材の開発に教員が関与することは①義務教育の機会均等確保②公立学校施設の公共性・非営利性③教育公務員の兼業・兼職の適正手続きの点から疑義がある、と指摘しましたが、杉並区教委が地域本部の主催で学校教育外の活動として行うものであり問題ないと回答したため容認してしまい1月26日から実施が強行されました。
しかし、地域本部(学校支援組織:文部科学省も全国の学校に拡大する方針)を隠れ蓑に学校外の教育活動と位置づけただけで、その問題点は何一つ解決していません。
その問題点は、
①義務教育の機会均と無償の原則に反し、学校長の監督下で学校施設を開放し私塾が営業活動を行うことは公教育の民営化につながる
②成績上位者を対象に和田中教員と塾講師が教材開発し学力向上、受験対策を行うのは、教育のインサイダー取引きを招き、公教育が教育格差を助長するもの
③特定の私塾の営業活動が公然と公立中学で行われるのは公共施設の私物化である
④学校選択制度が産んだ学校の差別化であり学校間の格差拡大を招く
⑤公立学校が自ら成績上位の夜スペ受講生徒と多くの対象外生徒を選別することによる生徒の心理的ストレスと生活指導上の問題が起きることが危惧される
等があります。
これを突破口に、全国の私塾が公立学校と連携した営業を求め、様々な教育産業が公教育をマーケットにするような事態が生じるとすれば、公教育の破壊、民営化であり和田中学校だけの問題として見過ごすことはできません。東京教組は、杉並区立和田中学校の私塾との連携に抗議し、直ちに中止することを求めます。
東京都公立学校教職員組合 ―2008年1月17日付声明文より―