(4)第2分野各単元における配列変更と追加
①生物領域
- 中1…生物の観察・植物の体のつくりとはたらき・植物の仲間の大枠は変化ない。ただし、植物の仲間はシダ植物・コケ植物の胞子植物に関しても学習する(ソウ類は記載なし)。
- 中2…中3より細胞のつくりが降りてくる。動物の体のしくみはほぼ現行通り。動物の分類に無脊椎動物(節足動物・軟体動物)が復活し、新たに生物の変遷と進化が加わる。変遷と進化は化石などの証拠による分析と適応性についてに主眼が置かれる。
- 中3…細胞分裂・有性生殖と無性生殖・メンデルの遺伝の法則(優性・分離)について学習する。遺伝では、遺伝子がDNAという物質からなることも新規に学習する。また、食物連鎖関係は別単元「生物と環境」にて取り扱う。
②地学領域
- 中1…地層と堆積岩・火山と火成岩・地震の大枠は変化なし。ただし、2002年度指導要領に見られた岩石名の履修制限はなく「代表的なものを扱う」と記載されている。また地質時代に関しては、新生代を第3紀と第4紀に分けて取り扱う。
- 中2…湿度と雲・風と気象観測・前線の動きに気団と日本の天気が復活し、92年度指導要領に準じた内容となる。
- 中3…日周運動・年周運動・太陽の様子・日食や月食を含めた見え方の基本的な流れには変化なし。
第1分野の充実に比べ、第2分野の改定はお粗末な内容じゃないですか。指導内容の追加が、明らかに生物に偏っています。92年度指導要領にあった大地の変化における「地殻変動(褶曲・整合・不整合)」は復活せず、天体の「銀河系」も取り扱われません。地学軽視といってよいでしょう。生物領域に新規内容を取りこんだのはわかりますが、DNAなどは高校理科「生物」で詳細に扱ってもよいのではないでしょうか。
(5)まとめとして
授業時間数が現状と変わらない中1においても学習内容が増加しています。中2・中3は92年度指導要領レベルにもどったと言えますので、時間数的にその当時並の指導はできるでしょう。
しかし、理科教育の抱える大きな問題を解決するのは難しいです。この盛りだくさんの内容を指導するだけで、公教育・私教育とも消化不良を起こす可能性はあります。
公教育では「実験・観察」の実習授業の省略に拍車がかかると予想されます。塾などの私教育では、内容増による指導のコンパクト化が進み、結局のところ理科の学力を伸ばすまで行かないでしょう。
公教育が「実験・観察」を省略すればするほど知識の詰め込み授業に成り下がり、理科的な思考力を身につけることは困難になります。その原因はやはり時間数でしょう。おそらく、最も「実験・観察」に取り組む学年である中1が厳しくなります。
やはり、全学年とも週4時間ないとこなすのは難しいといってよいのではないですか。今回の改定では、週の授業時間を29時間と設定しているので、あと1時間は増やせたのではないでしょうか。また、必要以上に英語に時間を与えているのも、どんなものでしょう。バランスを考え直してほしいですね。
ちなみに、塾においては数学と同等の時間数で指導しないと、間違いなく理科の指導は崩壊するでしょう。