今回は、各塾の塾継続生の占有比率が高い中学生を例に、お話していきます。
2002年度指導要領と1992年指導要領を比較した際、特に数学・理科での変更(削除事項)が多かったことが特色でした。5教科全体でも、およそ3割の内容が削減された形です。
ところで、削減事項と表現した内容には、「完全な削減」「高等学校への先送り」の2つが混在していました。「高等学校への先送り」の内容でも、理科の地学分野の場合は高校での履修率からみると「完全な削減」と判断するのが妥当です。
そういった2系統の削減事項を、多くの塾は継続授業であたかもすべて扱うかのように、2002~2003年にかけて広告宣伝するのですが、不完全燃焼でその試みは終了するのです。その理由は、次の3点にまとめられます。
(1)継続授業の時間数が、少なすぎるため。
『道内学習塾の生き残り戦争』でも記載しているように、北海道の大手塾は、週当たり6時間程度しか継続授業をしていません。大まかに言うと、英語・数学が各100分、理科が30~50分、社会が20~50分、国語が0~30分です。
数学の削減事項の授業での反映度が大きいのは中3です。中3の場合は、受験指導も継続授業に取り入れねばならない側面があるため、削減事項を多量に取り入れることはできません。
理科の場合は、もともと各塾とも指導時間を少なく割り振っていますから、削減事項のおかげで少々まともな授業ができるようになったレベルです。中学での週当たりの指導時間が最も少ないのは中3ですから、数学同様に受験指導で時間をとってお仕舞です。中1・2は1992年指導要領と週時間数が同じですから、取り込む余裕はありません。
(2)取り込みにくい単元が多数あった
数学の中3「二次方程式の解の公式」程度なら、指導はしていました。しかし、「円に内接する四角形」「接弦定理」となると、結局は高等学校の数Aで詳しく扱います。中2でやっても意味がなかったのです。中3「相似と面積比・体積比」になると受験前単元ですから、扱うことはほぼ不可能でした。
その他、数学で塾が対応したのは「方程式の利用」の思考問題を多めにしたくらいです。
理科はと言いますと、1992年指導要領から指導学年変更となった「大地(中3→中1)」「天体(中1→中3)」が大きなネックになりました。「大地」の地震では、数学中3「三平方の定理」を利用した問題を指導できなくなったのです。
また、単位系が国際単位系(SI)表記に変更されたことも、現場講師の混乱を招き、不十分な対応になったようです。
なお、中学から高校への最も重要なつなぎ単元である「物質とイオン」は、その量的な問題もあり、塾継続授業に取り入れた塾は皆無に等しい状態でした。
(3)2003年12月の指導要領見直しで、方向性を失った
前回も書いたように、学習指導要領の上限規定が2003年12月に削除され、公教育でも発展的な内容として扱えるようになりました。塾で指導する意味はなくなったのです。
今振り返ってみると、社会的に「2002年問題」と大げさに叫ばれた2002年度指導要領は、単に塾の募集活動に利用されただけだったのではないでしょうか。真摯に対応した塾はごく僅かであったことがそれを物語っています。
今回の改定を良いきっかけとして塾システムを構築する真面目な北海道の塾があるなら、次のことをやってもらいたいものです(以降、続きを読むに掲載)。
▲大手塾に望むこと
(1)継続授業の指導時間数を1.5倍にせよ!
現状の時間数でも充分に指導できない教科を抱えているのであるから、2011年度指導要領の時間配分に準じて、英語150分、数学・理科各100分、社会・国語各50分の週9時間指導に転換すべきであろう。
実現したとしても、大幅な授業料UPは容認できない。なぜなら、札幌市の「現役予備校TANJI」は、すでに週9時間指導で毎月の授業料が20,000円程度であるからだ。この金額は週6時間の練成会グループとほぼ同等である。
進学会(札幌)や秀英予備校は週6時間で25000円前後の授業料の塾では、これ以上UPさせるのは、消費者を納得させることは難しいとしか思えない。
(2)国語指導の充実を図れ!
たとえ週50分であったとしても、以前から比べれば国語の指導時間は格段に増えるはず。「KY語」「らなし言葉」に代表される日本語の乱れへの対応。読書不足で一面的な思考しかできなくなった子供たちへの働きかけなど、私教育が国語教育に貢献できることは山ほどあるはずだ。
(3)得点力のみを特化する指導から学力をつける指導へ変換せよ!
特に、大手塾の理数系の指導は、最初に結論ありきの「帰納法」に走りすぎである。「演繹法」の手法をふんだんに取り入れ、段階的思考のできる子供たちを育成すべきである。