かねてから悪評が高かった現在の学習指導要領がようやく改訂される運びになりました。「ゆとり教育」による学力低下を招いた元凶とされた旧学習指導要領がどう変わるのか。まずは、報道内容の確認からいたしましょう。
文部科学省は15日、教育課程の基準となる小中学校の新しい学習指導要領案と幼稚園の教育要領案を公表した。前回1998年度改定の指導要領で掲げた「生きる力」の理念を継承。小中学校の算数・数学、理科を中心に前回削除した単元を復活させるなど指導内容を増やすとともに観察・実験を充実させ、知識の習得と活用力の育成を図る。授業時間数は小中学校とも30年ぶりに増やし「ゆとり教育」から転換。一昨年の教育基本法改正後の改定で、伝統や文化に関する内容を盛り込み、道徳教育も充実させる。
中央教育審議会(中教審)の答申に沿ってまとめた。改定の柱は《1》理数教科の充実《2》伝統と文化の尊重《3》外国語強化《4》道徳教育の充実-など。授業時間数は小学校低学年が週2時間、小学校中学年、高学年と中学は週1時間増やす。
算数・数学は台形の面積など前回改定で削除した内容を復活し、複数の学年で同じ内容を反復して指導する。「目的に応じ3を用いて処理できる」とした小五の円周率の記述も削り、「3・14」を復活した。理科は思考力・表現力を養うため観察・実験で考察を促す。小中の合計時間で算数・数学が約15%、理科が約23%増える。
改正教育基本法で明記された「伝統と文化の尊重」は各教科に反映。中学音楽では唱歌を復活させ、中学保健体育では男女ともに武道を必修化。国語は小学校でことわざや故事成語、中学では古文・漢文の音読など古典に力を入れる。
知的活動やコミュニケーションの基盤となる言語活動は、国語だけでなく各教科で重視。
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英語は小学校高学年で初めて必修化。中学英語で扱う英単語は約900語から約1200語に増やす。前回改定で導入された「総合的な学習の時間」は小中とも時間を3割程度減らす。
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新指導要領の完全実施は幼稚園が2009年度、小学校が2011年度、中学が2012年度。小中の理数科目は内容が大幅に増えるため、文科省は2009年度から授業時間数を増やし、補助教材の作成も検討する。同省は「学習内容の増加分は、理数教科で授業時間増の7~8割程度に抑えているのでゆとりはなくならない」と説明している。
出典:『北海道新聞』2008年2月16日付
各教科別に検証すると、次のようになります。
(1)理数教科の充実の概要
①授業時間数の変更
②指導内容の追加・復活(1997年度以前の内容)
- 算数……整数の計算、同分母分数の加減法(以上小4)、素数や台形の面積、異分母分数の加減法、図形の合同(以上小5)、小数や分数の計算の定着と活用、角柱や円柱の体積、拡大図と縮図(以上小6)
- 数学……数の集合と四則、図形の移動、球の表面積・体積(以上中1)、有理数・無理数、二次方程式の解の公式、相似な図形の面積比・体積比(以上中3)
- 小学理科……骨と筋肉の動き、身近な自然の観察、風やゴムの働き(以上小4)、雲と天気の変化の関係、水中の小さな生物(以上小5)、てこの利用、ヒトのおもな臓器の存在、食物連鎖、月と太陽(以上小6)
- 中学理科……力とばねの伸び、質量と重さのちがい、水圧(以上中1)、電力量、熱量、電子、元素の周期表、生物の変遷と進化(以上中2)、力の合成・分解、イオン、遺伝の規則性、DNA(以上中3)
(2)履修英単語数の変遷
- 指導語数とは、中学3年間においてすべての生徒に指導する英単語の数。
- 共通語数とは、すべての採択教科書で共通して指導する英単語の数。
※他教科もいろいろな改定がありますが、数理、英語の3教科に絞って検証してみました。

