一口に学習塾といっても、いろいろな種類があります。まず、一般的にどのように分類されるかをWEB百科事典の記述をもとにご紹介しましょう。
●学習塾の分類
A. 学力別
難関校進学系と補習系に分かれるが、大手進学塾では学力に応じてクラス分けしているためその両方を持つ場合が多い。中小の大半の塾では人数の都合上クラス分けをしていない。個別指導塾や自習式の塾は個人の実力に応じて対応できるためその区分がない。
(1)難関校進学系
難関の学校に進学希望する生徒に、学校の授業より難しい内容を加え指導するもの。入塾試験で選抜するところがほとんど。難関校を目指す生徒のみの塾はほとんどなく、ほとんどが特進コースなどのクラスを作り補習系と区別した形を取っている。
中学受験の場合は、日能研、四谷大塚、サピックス(中学受験の御三家塾)、希学園、浜学園、日能研関西(関西の3大中学受験塾)等が有名。
高校受験の場合は関西志学館、サピックス、早稲田アカデミー等が有名。
(2)補習系
学校の授業だけでは完全に理解できない生徒に、先行して授業を行ったり補習を行うもの。学習塾の多くがこの補習系に属する。
B.人数別
(1)集団授業の塾
1クラス概ね10人以上のクラス構成の塾。社員扱いの講師がハイレベルなクラスを担当し、アルバイト講師がそれ以外のほとんどのクラスを担当することが多い。社員とアルバイトの区別が明確でないので、習う側からは講師の質の判断が難しい。社員扱いの講師が多い塾は1クラスの人数が多くなり授業料も高額になる。集団授業塾でも全てアルバイト講師というところも多く、この場合は授業料が比較的安価である事が多い。
大手塾では、規模の拡大に伴い、主に下位クラスで講師の質が落ちているという。
(2)自習形式の塾
クラスはなく広い部屋に異学年の小中学生を集め、様々な科目を自習形式で同時に学習する。解説の書いた専用のプリントと問題用紙をもらい自学自習する。採点者は採点に追われるので、ほとんど指導ができない。人数の多いところでは、アルバイト講師が巡回指導することもある。ほとんどがフランチャイズ形式で、公文式や学研教室がこれに当たる。
(3)個別指導の塾
1人の講師が概ね1名~4名の生徒を指導する。個人指導ができるが、講師はほぼ全員アルバイト。講師1人に対する生徒が少ない分、授業料が高額。時間単価では、集団授業の塾の3~6倍となる。講師のプロ意識は低く、受験指導への知識も少ない。苦手科目のフォローとして補習程度に使うのが無難。
※ここで言う社員とは、塾を専業として働き社会保険(厚生年金・健康保険・雇用保険)に加入した一般的な正社員を言う。アルバイト講師は、主に学生や主婦、他に仕事を持っている者や1年以内の短期契約又は短期契約の雇用期間自動更新などの契約社員を示す。
社員とアルバイトの違いが明確でないため、1~2年で講師が入れ替わる実質アルバイトのような就労実態であっても正社員(常勤講師)などと表現している塾も多い。
大手塾では、社員に登用される可能性があることを示唆しアルバイト講師として働かせ、数年後に塾側がその指導力を評価した一部の講師を社員として登用する場合がある。
経営的な面から指導力のあるアルバイト講師であってもすぐに社員として登用されることは少なく、講師のほとんどがアルバイトで成り立っている。平均的な授業料の塾では教室管理者一人が社員で、その他がアルバイト講師ということになる。元塾生がこれらの講師に大学生アルバイト講師から始め、社員を目指し教室管理者となることも多い。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
と説明されていますが、『ウィキペディア(Wikipedia)』の場合、かなり主観的な部分も多いのでご注意ください。(赤文字部分)
さて、北海道の学習塾は、基本的に補習系塾のことを指します。中学校での内申点アップを目指して公立高校入試を有利にし、全国的にも易しいレベルの公立高校入試問題への対応力を身につけさせることを目的にした塾ばかりが存在しているからです。
R会グループやHZ会などの北海道の塾は、補習塾とみなされる事を嫌うため、『進学塾』あるいは『総合塾』であることを強調した宣伝をしますが、まず中学校の授業ありきですから、『補習系塾』にほかならないわけです。
北海道という地域が、「塾≒補習系塾」となっているのは、高校進学の地域特殊性があるからなのです。
(1)公立高校受験に必要な内申点が中1~3の全学年が対象となること。
具体的に言いますと、北海道公立高校入試では、次のように内申点は算出されています。
○中1の9教科の評定(3学期の通知表のこと)合計(9~45)×2……①
○中2の9教科の評定(3学期の通知表のこと)合計(9~45)×2……②
○中3の9教科の評定(3学期の通知表のこと)合計(9~45)×3……③
※①+②+③=内申点(63~315)
そして、315~296をAランクとし、以下20刻みでMまでのランク付けをしています。このA~Mまでを内申ランクといいます。
若干、中3の比率が高めですが、中1・2での配点も大きく、まあ、学校の授業で手を抜いた生徒は上位校への進学の夢を中3進級時にほぼ断たれてしまう制度といえます。なぜなら、当日の入試点(学力点)と内申点との評価比率が1:1(募集定員の70%の生徒はこの基準)となっているからです。
送り出す中学校の進路指導でも、例えば、札幌南や北のような難関校にC・Dランクの生徒を受験させないように進路をきめるのです。高校の学校別裁量で15%程度は学力点を重視して合格者選抜をしますが、この枠を当てにするのはかなり危険といえます。
ところで関東圏の内申はどうなっているかといいますと、中1~3の全学年を対象とする都県はほぼなく、多くが中2・3の2学年、一部では中3のみが対象となっています。入試での比率も1:1ではなく、当日の学力点を多めにみるようになっているようです。
つまり、中3からの努力で志望校受験を反映できる制度といえます。そのためかどうかは断言できませんが、高校受験において学力検査よりも内申点の扱いが低い茨城県・埼玉県などでは公立高校の大学進学実績がよいということが報告されています。
このことから、北海道の学習塾は「受験は中1からすでに始まっている!」をスローガンに生徒募集をすることが可能になるわけです。多くの親御さんたちもそれに賛同し、われ先と補習塾へと通わせる土壌が北海道にはできたのです。
(2)高校受験のインシャーティブを公立が握ってきたこと。
北海道で高校受験をした親御さんたちに、進学校として思いつく学校を聞くと、札幌圏なら南北東西、旭丘など、空知では岩東、滝川、旭川では旭東、帯広は柏葉、釧路は湖陵、北見は北斗、網走は南ヶ丘、胆振は苫東、室栄などなど。列挙されるのは道立高校ばかりです。私立をあげるのは函館くらいで、つい10年ほど前までは、進学実績が優れると認知された私立はわずかしかなかったのです。
前述の各地域ではそれらの高校の出身者が幅を利かせるこまった地域性があったのにも原因があります。たとえば、旭川市では旭東出身というだけで畏怖されます。帯広や北見、室蘭などもまったくと言っていいほど同じ状況です。
ただし、地方都市ではさらにその上に札南・札北があり、極端に言えば、その個人の人間性よりどの進学校出身かで就職などに有利・不利が決まることもあります。
しかも北海道の公立高校は、入試問題は当たり前ですがすべて共通です。進学校に行くにも、職業専門高に行くにも同じ内容の練度だけが合否を決めることになります。公立高校入試は、文科省制定の学習指導要領を逸脱した内容は出題できません(余談ですが、過去に一部逸脱した際、その設問を受験者すべてに加点する処置をとったこともあります)。
ようするに、中1~3の内容を理解していたら入試はOK。しかも公立高校メインなのですから、塾は補習塾として存在していることが当たり前になるわけです。
このことに加え、中学校で実施される学力テストの得点集計を他校と共同で行えなくなったこともR会やHZ会などの塾に追い風となりました。塾に行かなければ自分の位置はわからない状況が生まれたからです。他校の生徒との比較は塾で実施する集計にたよらねばならなくなったからです。
あくまでも学校主体の指導をしながら塾を利用する土壌、首都圏のような内申をあまり重視せず、私立受験主導なら、北海道の塾は補習塾中心のいびつな発展はありえなかったと私は考えます。