「北海道の塾考察」第1部“道内学習塾の生き残り戦争”も早いもので、6章まで終えました。本章の設定では、あと2~3章で第1部を終了し、2009年より第2部(表題未定)へと展開していく予定です。今後ともよろしくご愛読お願いいたします。
ところで、この8カ月の間、大手塾には私の想定内外の様々な動きがありました。本章で間に合わなかった内容の補足として、今回お話しさせていただきます。
(1)S英予備校…「4-6月決算が赤字!」
この件に関しては、別項目「教育ニュース&管理人コラム」にて、私の考えは述べています。そちらでご覧になってください。
(2)HZ会(SG会)…「M&A、業務提携が活発化!」
HZ会は、今年度に入り、企業としての動きをかなり活発化しています。まず衝撃だったのは「こどもクラブ」の買収です。以下の記事をご覧ください。
「HZ会」を展開する学習塾大手のSG会(札幌)は2日、幼児向け学習教室を運営する「こどもクラブ」(同)グループ2社の全株式を取得することで両社と基本合意したと発表した。
小中高一貫指導を掲げるSG会は幼児教育分野にも参入し、顧客層を拡大するとともに、「こどもクラブ」の事業所を足がかりに首都圏での学習塾展開を加速させる。
買収するのはこどもクラブと、同社に運営ノウハウを提供する新日本教育(同)の2社。
両社の創業者である江上壽幸(ひさゆき)会長から7月30日付で全株式を取得する。買収額は今後協議し詰めるという。
こどもクラブは1歳児から小学生までのしつけや学習指導を行い、中学受験向けコースも設置する。18都道県に約80教室を展開し、地盤とする道内と首都圏ではいずれも30弱の教室を構える。児童数は約5500人。
学習塾業界は少子化を背景に競争が激化しており、進学会は両社の買収をきっかけに、将来の学習塾生徒として期待できる未就学児童を早期に囲い込む考え。
さらに、進学会の学習塾の空白区となっている「首都圏進出の橋頭堡(きょうとうほ)」とし東京など1都3県に打って出る。なお「こどもクラブ」の名称は存続させ、教室も積極的に増やす。
また、新日本教育の江上会長はSG会の特別顧問に就任する見通し。SG会の売上高(2008年3月期)は「こどもクラブ」グループ2社(同)の8億3500万円を単純に合算すると、82億8800万円に増加する。
出典:『北海道新聞』2008年6月3日付
この買収に関しては、教育産業として妥当な発想でないでしょうか。昨今の塾業界M&A状況を見ると、買収する側の利点は「空白地域、空白世代への新規参入の足固め」というのが王道です。
SG会(HZ会)は今回のM&Aによって、それらを手にするほかに、中学受験向けコースのノウハウも手に入ります。北海道だけならHZ会の手法でさほど問題ないでしょうが、首都圏進出となると、中学受験への教務構築は不可欠です。その意味でも「こどもクラブ」買収は、SG会にとって利があるでしょう。
しかし、もう1つの提携はどんなもんでしょう。次の記事をご覧ください。
学習塾道内大手の(株)SG会は、23日同業の(株)市進と業務提携すると発表した。
市進のインターネット配信授業をSG会でも受けられるようにし、これまで手薄だった高校生部門を強化する。市進は首都圏が地盤で、教室を展開している地域がほとんど重複しておらず、提携のメリットが大きいと判断した。
パソコンで好きな時間に授業の映像を見て学習できる「市進ウィングネット」を夏期講習から導入。受けられる講座は108。
SG会はこれで高校生向けの科目数が一気に増えるうえ、生徒のレベルに合わせた講座も用意できる。時間も自由に選べ、部活に入っている生徒も受講しやすくなる。
まず、札幌市内の教室に5台のパソコンを導入し、利用状況を見て順次拡大する。
出典:『全国私塾情報センター』2008年7月24日付
正直、HZ会に失望しました。これじゃあ、R会のT進衛星予備校システムとなんら変わりがないじゃないですか。4章で書いた内容が完全に裏切られました。HZ会だけは、独自システムで高校生指導を構築できるだろうと考えていたのに…。
これによって、高校生が集団授業を受けることができる環境がますます減少する流れが加速するでしょう。やはり大手予備校しか頼りにならないのかも…。
いや、そうではありませんね。そこで息を吹き返すのは個人塾です。大手のマスプロ授業から、親身な小回りの利く塾が幅を利かせるようになるでしょう。
そうか、HZ会は個人塾活性化のために市新と提携するんですね。献身的な塾と言えるでしょう!?
(3)R会グループ…「Sセミナー以外のR会、道コンから完全離脱!」
道コン事務局とR会の間に、テスト内容から発した軋轢があるというのは数年前から噂になっていましたが、この夏期講習よりR会は中3生でも道コンではなく、自社テスト「北海道統一模試」へとスイッチしました。
この件に関しては、多くの道コン加盟塾でも知れておらず、志高い個人塾の方からも次のような問い合わせが私達「北海道の私教育」へと寄せられたのです。
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はじめまして。私は岩見沢で個人塾を経営しているものです。
いつも興味深く拝見しています。
気になることがあるのですが、R会は、今回(8/11)の北海道学力コンクールに中3も参加していないのではないのでしょうか?(岩見沢R会だけかもしれませんが)
岩見沢地域の参加人数が極端に減っている気がします。
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岩見沢で、今後大評判となる塾と予想される「志学館」様からの問い合わせです。お話をよくお伺いすると、昨年比-300名程度の受験者数だったそうです。
全道的に見ても、昨年同期より-5000名程度の約1万4000人が中3の道コン受験者数です。単純に考えて、道コン事務局は1000~1800万円の減収となっているのです。
R会の意図はいったい何なのでしょう。私が思うに、今回8月の最大の愚問とも言うべき上位高問題に代表される道コンの問題レベル低下に業を煮やし、自社ブランドの模試設立を考えているかもしれません。
道コンの問題レベルに関しては、10年以上前からあまりにも公立高校入試レベルを逸脱しすぎという非難がありました。
しかし、それは仕方ないことです。札幌圏のようにハイレベルな私立高校を抱えている地域では、そのくらいのレベルがないと模試の品格は保てないのです。
ようするに、札幌圏以外のレベルには合わせられないというのが道コン事務局の言い分でしょう。
地方塾の代表たるR会は、自塾の塾継続生確保にも有利に働く内容のテストが必要だったのです。それゆえに自社テストを立ち上げたということになります。
ということは、模試を変えてまでも塾継続生確保せねばならないというR会の苦しい事情が見えてきます。しかも、グループ企業であるSセミナーは、札幌圏であるがため、道コンを継続して受験しています。
企業体の空中分解は近いかもしれません。
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