私は、指導効果を生み出す個別指導における講師1コマの受け持ち人数は、常識的な範囲で1:2までが妥当と考えています。無論、理想は1:1ですが…。
受け持ち人数によって、指導がどう変わるのか、1:1~1:3の範囲で考察してみましょう。
(1)1:1指導の場合
講師が最も集中でき、また必要に応じて いつでも何でも指導できるのがメリットです。
1:1指導では、1名の生徒に集中すればよいため、指導時間の使い方は自由になります。また、生徒が家庭学習をしっかりやってさえいれば、指導時間のすべてを解説時間に当てられます。この点が1:2以上にはない最大のメリットです。
しかし、指導時間の半分以上にわたり自習などをして講師が放任の状態ならば、そのメリットは生きません。学生アルバイトの家庭教師では、その傾向が顕著に見られますので選ぶ時の注意点として肝に銘じておきましょう。
まあ「長時間にわたり講師が放任の状態」にしない限り1:1指導の短所はないと考えてよいでしょう。
(2)1:2指導の場合
指導教科や内容の異なる2名の生徒を指導する以上、片方ずつしか対応できません。したがって、指導形態は「演習、解説、演習、解説のリピート」になります。
当然、指導時間の半分解説などを受け、半分自習をするのが基本的なやり方ですから、解説時間が十分かどうかは、生徒と指導内容によるでしょう。
2人の生徒が講師を共有する形になるので、受講する生徒の思い通りにならない場面は多々あります。遠慮がちな生徒は質問などできずに指導を受けられる時間が短くなるのも当たり前にあります。
(3)1:3の指導
「演習、演習、解説、演習、演習、解説のリピート」になります。1人当たりの解説時間は短いため(90分1コマなら、30分未満)、指導の質の低下、時間ロスの問題は、1:2指導の比ではありません。
できない生徒や質問しまくる生徒に長く指導し、できる生徒や遠慮がちな生徒は放って置かれることは、当たり前です。
塾には自習しに行くつもりで、たまに質問するだけで十分だという生徒ならよいかもしれませんが、まともな指導を期待して塾に通うのならば選択するべきではないでしょう。
ここで、(3)の「たまに質問するだけで十分な生徒」について考えてみましょう。早い話、自分で学習を進めることはでき、困った時に対応してくれれば学習効果が上がる生徒です。
そういった生徒の場合は、集団指導塾の時間的拘束は苦痛でしょうし、個別指導塾や家庭教師のように絶えず視線が注がれる状態もいやでしょう。
そこで登場するのが、“自主学習支援塾”です。具体的に言うと『育英舎 自立学習塾』や『慶学館』がそれに当たります。1名の講師が5~7名の生徒を監督し、自習中にわからない点を質問してきたときにのみ生徒対応をするスタイルです。
いずれの塾とも、「生徒の自学力UP」を念頭に、講師がその手助けをする指導スタイルであることを強調しています。
この方式の受講メリットは、指導教科を特定せず、集団指導のように中学生なら5教科すべての指導を受けられることにあります。また、授業料も1:2までの個別指導よりも安く、ほぼ集団指導塾並みに設定されています。
言い方を変えれば、チューター付きの高価な自習室を借りているような感覚でないでしょうか。
この方式なら、個別指導塾のアキレス腱をかなり解消でき、同時に集団塾のようなクラス運営も必要ないので、経営者にとっても利が多いでしょう。
ただし、上記の2塾とも「個別指導塾」と呼称しているのには問題があります。どうみても個別指導ではないのですから、これは不実の告知でないでしょうか。
消費者は、個別指導という名称で連想するのはあくまでも家庭教師や1:2個別までの、生徒個々を把握できる状態を指します。
“自習学習支援塾”は、1つの別な形態なのですから、それを明確に呼称するのが妥当ではないでしょうか。
ともあれ、経営面を重視すれば“自習学習支援塾”は、個人塾開業の手段として有効であることは間違いありません。
しかし、単なる個別指導より講師の技量が必要になるのは予想できます。バランス感覚にすぐれた講師でない限り、クレームが出やすい欠点を内包しているでしょう。
そのためなのか、経営の効率化なのか、“自習学習支援塾”は責任者1名+数名の講師で賄われています。人件費をかけず効率的な運営ができるというだけで、安易にこのような塾が増えるのはどんなもんでしょう?
私が、真に望む個別指導、というより塾の指導形態はもっと違うものです……。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
〇『塾・予備校ブログ』を応援よろしくお願いします!
※下のボタンを「ポチっとな」をよろしくお願い!