前回までの話で、個別指導塾を起業するのは、集団塾よりも容易であると感じる方が多いと思いますが、実際のところはどうでしょうか。
確かに、ただ開業するのなら資金や指導上のリスクが集団塾のそれよりも小さいことは事実でしょう。問題は、継続して経営することです。
それぞれの形態についての利益率について考えてみましょう。
【条件】月謝収入が月額60万円になるように経営した場合のシュミレーション
(1)集団塾の場合(月謝2万円、講師時給2,000円として)
①1クラスの定員が30名の場合
・月謝収入=20,000円×30名=600,000円
・全員をアルバイトとした場合の人件費
=6時間指導×時給2,000円×4週=48,000円
※家賃等の運営費を15万円とすると、収益は40万2000円
②1クラスの定員が15名の場合
・月謝収入=20,000円×30名=600,000円
・全員をアルバイトとした場合の人件費
=6時間指導×時給2,000円×4週×2クラス=96,000円
※家賃等の運営費を15万円とすると、収益は35万4000円
(2)個別指導塾の場合(90分指導×月4回として)
①1:2指導(月謝1万5000円、講師時給1200円として)
・月謝収入=15,000円×40名=600,000円
・全員をアルバイトとした場合の人件費
=月6時間×時給1200円×20コマ=14万4,000円
※家賃等の運営費を15万円とすると、収益は30万6000円
②1:4指導(月謝1万円、講師時給1500円として)
・月謝収入=10,000円×60名=600,000円
・全員をアルバイトとした場合の人件費
=月6時間×時給1500円×15コマ=13万5,000円
※家賃等の運営費を15万円とすると、収益は31万5000円
以上のことからわかることは、次の点です。
①同等の月謝収入を得るには、集団塾の方が募集人数が少ない。
②同等の月謝収入の場合、人件費は集団塾の方が少ない。
③同じ個別指導でも、1:2指導よりも1:多指導の方が収益率が高い。
もちろん、経営者が授業を担当することによって講師時給は圧縮されるわけですが、基本収入である月謝を集めるのに個別指導塾の方が多くの生徒を募集しなければならないというところが厳しいところでしょう。
この状況を改善するのに、手っ取り早いのは次の3つです。
①1生徒当たりの月謝額を上げる。
②1講師の指導人数を増やす。
③1生徒当たりの個人単価を増やす。
しかし、①に関しては、他塾との競合下で上限がある程度決まってくるでしょう。極端な改善策にはなりません。②に関しては、指導の質の低下を招くので限界は1:3指導という感じでないでしょうか。
1:2指導を基本とする多くの個別指導塾では、③の1生徒当たりの月謝単価を上げる方法を選択して収益率を上げる策を取ります。ようするに、1人の生徒が選択する教科数を増やして、2~3人分の月謝を賄うように誘導するのです。
これは、大手塾でも同様で、R会の円周率でも率先してとられている方法です。
上記の設定金額は、個人経営の最低ラインとしてシュミレーションしたわけですから、このラインを下回ったら赤字経営の可能性が高くなります。
ましてやFC塾として運営した場合、ロイヤリティーを10~15%支払うわけですから、この程度の生徒数では経営は成り立たないのです。
ところで、札幌市内を見ると1:2ではない個別指導塾が最近幅を利かすようになってきています。というよりも、集団塾・個別指導塾とは異なる第3の極とも言うべき“自主学習支援塾”が個別指導の名を借りて塾を運営しています。
何を目的に、どんな利点で運営しているのでしょうか? 次回にて…
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