あり得ない話ですが、新しい政権が“学習塾・家庭教師を含む私教育禁止法案”を国会に提出し、社民党・国民新党・共産党などの賛成により可決されてしまったら、学校教育はどうなるでしょうか。
今まで、ダラシナイことをやっていても補完してくれていた存在がなくなるわけですから、教育現場は大混乱するでしょう。モンスターペアレントは激しく増殖するでしょうし、学校教員の労働時間はサービス残業を含めて18時間ぐらいに肥大し、教員採用試験受験者の激減を招いて慢性的な教員不足状態になりますね。
でも、そこで学校教育再編の動きが生じて、何とか機能するように改革されて落ち着くでしょう。前回記述した改革案も導入されるんじゃないでしょうか。
結局、何が言いたいかというと私教育がなくても、公教育はボロボロになりながらも存続できるということです。
では、先日辞任したN山元国交大臣が、間違って自民党総裁となり、首班指名で首相に指名されたとしましょう。
彼は、日教組を癌と認識しているわけですから(他の失言は問題発言ですが、これだけは正しい考えでしょう)、“文科省・学校教育民営化法案”を提出し、学校教育の解体と教育基本法の廃止が決まったらどうなるでしょうか。
まず、家庭教師と個別指導塾は大義名分を失って衰退していきます。集団塾は、かなり淘汰されるでしょうが生き残り、学校に代わる新たな教育機関として再生されるかもしれません。その結果として、家庭教師や個別指導塾も生き残れるでしょう。
なに戯言を言ってんですか!って言われそうですが、これが私教育の限界点なのです。
公教育は、私教育がなくても存在できるいわば“独立教育機関”なのに対し、多くの私教育は学校教育が存在することの上で成立している“従属教育機関”にすぎないのです。
個人指導を基本とする「家庭教師」「個別指導塾」は、「集団指導塾」以上に従属性は強く、集団教育の吹きこぼれや落ちこぼれに対するフォローが栄養源なのです。
教育が民営化されたなら、集団塾は学校の代替機関として存続することはできるでしょうが、個別指導は教育の中核には成り得ないのです。
もちろん、こんな仮想の話は非現実的です。現在の学校教育は「独立栄養生物」ではなく、食虫植物のような「半独立栄養生物」みたいなものですから、「従属栄養生物」的な私教育から、栄養分と肥料の両方をもらわないと、生命を維持できないのです。
これぞ、教育界の“食物連鎖”ですね。
ここで、話をそろそろ個別指導塾に戻します。起業しやすさに関して、前々回にふれましたが、経済的な事情のほかにも指導上の理由で個別指導塾で開業する方もいます。
R会を辞したメンバーの話も書きましたが、彼らが失敗した理由の1つが指導教科の問題です。P.E.Sの“個別指導塾選び”を読んでくれた方々はご存知でしょうが、アルバイト講師の時給が何故指導人数が多いほど高いか、そこに答えが隠されています。
R会は、単独教科担当制を取っています。つまり、1教科の指導に長けていても他教科の素養がない社員教師がほとんどです。しかし、集団授業しか経験がないわけですから、起塾しようとすると集団塾をつくることしか発想しないのです。
他の4教科は「やれば、何とかなるんじゃない?俺は〇〇科では人気をとってたから。」という甘い見通しで開業したら、100%失敗するでしょう。
集団指導のノウハウは、特別な研修を受けることによって基本ができ、長年の修練によって身につくものです。現に、集団個別の併用塾であるE光ゼミナールでは、新人講師を集団授業に登用する愚かな行為はせず、ある程度評判をとってから抜擢されます。だから、集団指導の方が高給なのです。
この件に関しては、S塾経営でこのHPの愛読者でもあるNさんもほぼ同意見でした。
Nさんは、数学・理科・社会の指導経験がありましたが、英語・国語は指導経験はありませんでした。知識的には大丈夫だったのでしょうが、指導技術がないことはかなり不安だったそうです。
講師の指導への自信のなさは、生徒は敏感に察知します。それならば、ある程度の知識力があればだましが利く個別指導塾を選ぶほうが賢いでしょう。個別指導なら、やっているうちに何とかなっていきます。美しい板書事項を構築する必要もないわけですから、集団講師時代の会話技術さえあれば大丈夫ではないでしょうか。
相棒のA君もそうでした。彼は英語が中高生時代から、半端でないほど不得意でしたが、家庭教師を数年やるうちに中学生までなら、平然と指導できるようになったようです。
この指導しやすさは、結局は従属教育機関であればこそ成り立つことに個別指導の限界がある。そして、限界ゆえに経営的な不安定さも招いていくのです。
では、個別指導塾を維持・繁栄させるにはどうしたらよいのでしょうか。もちろん、指導の評判を浸透させることが王道です。しかし、個別指導塾はさまざまな方向性を見出しつつ、他塾との差別化をはかる方法を選択するケースが登場してきます。
次回、経営上の問題と絡めてお話しします。
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