私も相棒のA君も、家庭教師派遣会社に登録する前に、個人塾を起業することを考えた事があります。しかし、さまざまな障害があったため2人とも断念しました。
私は健康上の理由だったのですが、A君の場合は資金面です。A君は、集団指導の塾を作ろうと考えていろいろと研究したのですが、運営が難しいと判断して諦めたのです。
集団指導の塾の場合、ビルのテナントを借りるにしても、最低15~20坪はないと運営はできません。しかも、立地的にターゲットにする中学校の近くという限定条件が生じます。
仮に、良い物件が安い金額で借りられたとしても、教室としての体裁を整える内装関係の投資が必要になります。その他の備品や宣伝費、当面の運営費を考えると少なくとも500万円以上の資金力がなければ厳しいのです。
個別指導塾を起業する場合は、集団塾よりも資金はかかりません。教室兼事務所であっても、最低7坪もあればスペースは確保できることが利点です。その上、集団指導の教室のような間仕切りや黒板の設営も必要なく、パーティションと指導用の机の5~10セットもあればなんとかなるでしょう。
また、対象自体が中学生がメインとしても立地的に特定中学校のそばでなくても、十分な場合が多いのです。むしろ、交通の要地で、地域の小~高生が多く立ち寄りやすい方が有利なのです。
また、新規開講時の指導のしやすさも集団塾よりも格段に上です。集団塾では、仮に中1~3生の生徒が2名ずつ在籍した場合、3学年分5教科の時間割を設定せねばなりませんが、個別指導塾なら同一の時間帯(90分×週2回としても)で、6人を指導することが可能なのです。
もちろん、講師確保の問題もあります。集団塾なら3クラス設定するために最低2~3名の講師が必要ですが、個別指導塾なら講師1人で6人の生徒を指導することも可能です。
最も有利な点、それは経営維持に必要な生徒数が集団指導よりも少ないことです。集団指導なら、経営者+1~2名のアルバイト講師で経営するために各学年10名以上の生徒確保(計30名以上)が必要になります。
しかし、個別指導なら月謝の設定にもよりますが、週2コマ以上の生徒を15名以上確保できれば経営維持は可能になります。この15名という人数は、講師1人態勢で指導可能な生徒数でもあるのです。
こういった事情が、近年個別指導塾を起業なさっている方々が多い理由ではないかと私は推測しています。
しかも、FCシステムで契約したなら10~15%程度のFC料が発生したとしても、塾の名前自体が宣伝となって募集自体がうまくいくケースもあります。前回書いたように、経験がなくてもシステム運用さえできれば経営可能になる事情もあって、FC個別指導塾はますます増加しています。
札幌市で塾の検索すると、まあ呆れるほど個別指導塾の多いことに驚きます。大手塾から個人塾まで、猫も杓子も開業しているさまが異常に感じることもあるのです。
しかし、すべての個別指導塾が受け手である生徒に有益であるわけがありません。誤った方向に向かっている塾が存在しているのも事実です。と、言うよりも個別指導(家庭教師を含めて)には、始めからある限界点が設定されているのです。
その話は次回にて……。
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