まず、読者の皆さんにお願いがあります。8章は家庭教師と個別指導塾に関して記載していきますので、細かな内容の確認(予習)をしてから読んで欲しいということです。
【参考】 private Education Site Hokkaido 「正しい私教育の選び方」
※上記の家庭教師・個別指導塾関係の内容をご確認ください。
“家庭教師”という言い回しには、何か不思議な印象を受けるときがあります。と申しますのは、塾のように“講師”という表現をしないからです。
なぜ、“教師”なのでしょう。あくまでも私の想像ですが、学校教育を補完する存在として最初に認知されたのが家庭教師であって、「家で指導してくれる人」という言い回しとして適切な表現がなかったので、そう言い始めたのでないでしょうか。
つまり、30~40年前までは「私教育≒家庭教師」であって、一斉指導をする予備校のみ特別なものとして“講師”と言い分けていたのでしょう。塾の先生を“講師”と呼称するのは、予備校のスピンオフ的な存在として小中生の指導を行う集団指導が最初の形態であったからでしょう。
さて、首都圏において、個別指導塾が頭角を現し始めたのは1980年頃のことです。どの塾が最初に開設したかは定かではありませんが、それまで「個人指導=家庭教師」というニュアンスであったものが瓦解し始めた時期でもあります。
家庭教師として派遣会社に所属していた私達の立場で考えると、個別指導塾の指導内容と家庭教師の指導内容は大差はありません。むしろ、1:1でじっくり指導できる分、家庭教師の方が勝っている部分が大きいのです。
しかし、多くの家庭教師派遣会社は経営難に陥るか、廃業するところが昨今目立ちます。
現に2004年には関西を基盤とし、当時年商22億円を誇り大手家庭教師センターの一角であった「家庭教師のファイト」グループが倒産しています。業界1位のトライにしても、売上がピーク時の半分以下になっているそうです。
なぜ、個別指導塾が台頭してきたのか。その理由は指導する講師及び塾会社と受け手の生徒それぞれに、メリットがあったからでしょう。
講師・会社側のメリットとは、何か。それは経営効率です。
私たちが所属していたH家庭教師センターでは、中学生を指導する場合、大学生が時給1500円、プロ教師でも1900円でした。
それに対し、個別指導塾では1200円程度が大学生講師の標準時給です。単純に比較すると、家庭教師のほうが若干高めですが、生徒の自宅に出向いて指導する家庭教師は、移動時間のロスが大きく、1日当たり1コマの指導しかできないケースがほとんどであることが問題なのです。
個別指導塾では、講師は教室から移動する必要はありません。同じ日に2~3コマの指導は当たり前にあります。つまり、1日当たりの拘束時間に比して稼ぎが家庭教師よりも多くなるのです。
運営会社にしても、1人の講師の指導時間が長い方が効率的です。しかも、講師の管理は教室責任者の目の届くところでできるわけですから、家庭教師よりもトラブルやクレームが起きにくいのです。
私がH家庭教師センターを辞める直前、登録教師全員に、次のような信じられないメールが送られてきました。
“毎日指導ご苦労様です。びっくりする、呆れたクレームが入りましたので、「他山の石」と気を引き締めてください。
「指導中子供の漫画を読んでいる。」
「指導時間いっぱいやらないで5~6分早めに終わらす」
普通は5~6分長めにやると思っているご家庭にはショックに思えたそうです。”
個別指導塾なら、こんなつまらないクレームなど入る可能性は皆無でしょう。見えないところで勝手なことをやっている者が1人でもいるだけで、家庭教師派遣会社には命取りとなるのです。
というような点から、家庭教師会社は徐々に苦境に追い込まれていきます。しかも、受け手の生徒たちの気質にも変化が表れていることに気付かずに…。
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