あまりお勧めできませんが、大手塾で定年まで職を全うしたいと思うなら、HZ会・R会のどっちがよいでしょう。
長期間生き残るのが過酷なのはHZ会のほうです。時には、自己の良心の呵責と闘いながら業務を遂行する局面もあるようです。ただし、生き残ったら登用されるケースがほとんどのようです。
R会は新卒から15年程度なら普通にやってれば勤められますが、その後は自らにテーマを課した特別なスキルが必要です。
本州の大手塾(全国最大)で有名なEゼミナールの査定は、HZ会と同様に「業務成績」重視型です。成績の悪い責任者は1年と持たず降格の憂き目にあうそうです。たとえ何年も勤務していたとしても同じです。そういった、営業成績に対する切磋琢磨しやすい状況のほうが、スキルアップへとつながります。
HZ会もEゼミナールに比較的近い方針のようなので、ある意味これが塾業界大手のスタンダードではないでしょうか。企業人として考えるなら、生徒募集などの数値アップで給与が決まるほどやりやすいことはないでしょう。
ところで、授業力に関してHZ会が軽視しているかというとけっしてそんなことはないでしょう。近年の新規展開コースは、指導力が募集力につながるコースばかりですから、講師配置1つをとっても気を配っているように見受けられます。HZ会は、生徒募集力の1つの要素として指導力があるという受け止め方なのでしょう。
それに対し、R会では、指導力と募集力を別物と考えている節があります。というより、指導力があれば募集も何とかなる的な発想のようです。確かに、評判として先生の人気度はHZ会よりR会のほうが高いようです。言い換えれば、評判にこだわるのがR会でないでしょうか。
私は、R会の「生徒受け」重視査定が企業として大きな問題を抱えていると考えます。その一例として、(48)でちょっとふれた授業アンケートが悪かったために査定に響いたA君の同僚(仮にC氏とします)について、書いてみましょう(以下A君の寄稿)。
【A君の寄稿より③】C氏の授業アンケートの状況と背景
1.数値結果(記憶なので大体の値)
熱意1.92、わかりやすさ1.57、満足度2.02、総合1.83 (査定年度全体値)
熱意2.53、わかりやすさ1.98、満足度2.88、総合2.46 (査定年度教室値)
熱意1.44、わかりやすさ1.32、満足度1.47、総合1.41 (前年度全体値)
2.査定ポイント
前年度までは総合評価で給与査定をしていたのが、その年は何の告知もなく満足度のみの査定へと変更されていた。結果、最も数値が悪かった満足度の査定によりマイナス評価となった。
3.C氏の背景
C氏は、勤続15年以上で年も40歳近い講師であった。彼が若いころは生徒受けもよかったようで、どちらかと言うとパワフルに生徒をリードするタイプであった。
その年の彼の管理する教室の他教科スタッフは、アルバイト学生の卒業などもあり大幅に入れ替わった。C氏以外は中堅以上の講師は存在しなかったうえ、運の悪いことに新規入塾生はクセのある生徒ばかりであった。
C氏は、生徒をしかることもできず人気取りばかりに走る若手講師のおかげでバラバラになりそうな教室運営を立て直すために、授業カラーを変え、叱り役へと変貌した。生活面・態度面など事細かに指導を繰り返し、教室を立て直し生徒募集も安定した数字を残すことができた。
しかし、叱られ続けた生徒達は、甘い他の講師と比較してC氏嫌っていくことになる。若い講師たちも、生徒たちと同調して陰でC氏をなじる始末である。それを知りつつC氏は自己の方針を貫いた。
そして授業アンケート実施のころ、若い講師達はアンケート数値アップのために「叱らず・厳しくせず・生徒の言うがまま」を実践し、アンケートの数値をアップさせた。そのあおりはすべてC氏への評価へとつながった。
◎付記
C氏に限らず、ベテラン講師の授業アンケート数値は若手よりもよくはない。若手の評価は指導レベルではない。生徒受けするばかばかしいくらいのギャグ、若さゆえの整ったスタイルなどが武器である。当然、生徒を叱るような授業アンケートにマイナスな行動はしない。
抑え役のベテランは父親的に生徒から見られて、苦慮するばかりであった。
このA君の寄稿から、私は「R会は長くないな。」と感じました。
まず感じるのは、こういった背景で授業アンケートが悪くなったことを、会社が全く配慮していないことです。これでは、いかに教室をまとめ、生徒募集に成功したとしても給与は上がりません。社員のやる気はなくなるでしょう。
次に、若手スタッフの授業アンケートを見据えた立ち回りです。生徒を指導する側が身につけねばならない本質的な指導力を軽視し、授業アンケートをアップさせて給料を上げる行動をしています。彼らが教室管理者になったとき、まともな生徒指導は期待できないでしょう。
最後に、C氏には授業と生徒指導以外のスキルがないことです。塾業界では、1章でも書いたように、若さが講師の武器です。年齢を重ねた講師は第一線から退き、後方の抑え的な職務をするほうがよいのです。そういったポストがないのか、それとも能力がなかったのかはわかりませんが、悲しいことです。
更に、前述の若手スタッフも自分たちがいずれは年齢を重ねることに気付いていません。C氏以上にスキルを身につけられないでしょう。
R会はすでに講師の8割以上が社員になったと聞いています。教室管理や教科主任などのポストのない社員が多数存在しているはずです。査定方法が狭まる中、ますます授業アンケート偏重の傾向が強まることが予想されます。
きっと、授業アンケートにこだわるリーダーシップを発揮できない講師の集団へと将来的に成り下がるのではないでしょうか?R会は、社員査定の方針を大幅に変更すべきでしょう。HZ会のように募集査定を中心にして、授業アンケート査定など廃止すべきでしょう。
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