集団塾の場合、一斉授業ですべての生徒を理解させることはほぼ不可能です。
そのため、質問等の時間を授業後に設定し、「対応の細かさ」をアピールしなければなりません。
前回申し上げたように、徐々に個別指導塾が台頭しつつある中で、予備校的な「講義投げ捨て授業」を実施するだけでは、サービス業として信頼されません。
そのため、細かな対応をアピールするために、居残り補習の標準化をチラシ等で謳うのは当たり前のことになっているのです。
さて、その居残り補習では閉ざされた教室という空間の中に生徒と講師が1:1で対応する場面が多々あります。生徒の立場で考えれば、お気に入りの先生を独占できる素敵な時間になりますし、講師の立場で考えれば、かわいい生徒に集中して時間を割ける至高の時間となるわけです。
第2章(9)において、いくつか記載した不祥事の中でこの居残り補習が発端になった事件を1つ紹介しましょう。これは、旭川地区でシェアNO.1の大手塾で起きたことです。
社会を担当していた既婚社員講師Sは、中2の女生徒を授業毎に居残り対応させていた。最初は、本来の意義である質問であったが、そのうち単なる雑談や身の上相談になり、2人にとって時間を共有することが重要になっていった。
分校まで子供を迎えにきている母親は、毎回のように長時間車内待機を強いられ、それが徐々に不信の芽をはぐくんでいった。
ある日、娘の日記を部屋で発見した母親は愕然とする。そこには、
「あの日、先生がキスしてくれた…。うれしかった…」
と書かれていたのである。狼狽した母親が、その塾の責任者へ抗議するのは必然である。数か月もめた末、塾側は数10万の示談金を支払って謝罪し、その社員講師は自主退職した……。
30代の社員講師ですら、こんなことが起きるわけですから、20歳前後の学生講師ではなおさらです。
このようなことが起こる背景は、女生徒が生の感情をストレートにぶつけてきたとき、男性講師の恋愛に対する未熟さが無防備さとなって、受け入れざるを得なくなる場合がほとんどです。
思春期の女子中高生にとって、同世代の男子生徒は精神的に幼く、たよりがいなく映るというのはしかたないことです。それが、年上で身近な存在である塾講師へと恋の対象が移る原因となっています。
つまり、年長たる塾講師が大人として行動することができるかどうかが、トラブル化するかどうかの分かれ道なのです。しかし、そんな要素は採用時にチェックなどできるわけはありません。。
そのため、塾講師の居残り対応に関しては、講師にガイドラインを設ける塾が増えてきています。例えば、次のようなルールがあります。
〇分校教室では、1:1になるような対応はしない。また、対応する場合は必ず本部に電話連絡をする。
〇本校教室では、上司に申告の上、周りから見やすいところで対応する。
これによって、ある程度は上記のようなトラブルが勃発するのを防げるようになってきてはいるようです。
塾講師が人気商売であることは、周知の事実でしょう。講師自身も、生徒からの人気アップのために一生懸命にありとあらゆる努力をするわけですから、まあしょうがないことですね。
ただ、人気にはいろいろな質があることを認識してほしいものです。若さやルックスがそのための武器と勘違いしている講師には、まだまだ修羅場が待っています……。
次回、アルバイト講師が陥りやすいある事件についてお話しします。
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