“塾講師”と呼ばれる方々は、基本的に聖職者でないことは6章で述べた通りです。ただ、その論点はあくまでも“社員講師”に関してであって、アルバイト学生の中には“社員講師”を凌駕するほど指導熱心な方々も多いようです。
学生アルバイト講師が熱心なのは何故なのでしょう。やはり、金(賃金)のためなのでしょうか。いえいえ、そんなわけでもないようです。
2003年頃のアルバイト講師の賃金体系は、次のようだったとのことです。
(1)HZ会の場合
〇通常の継続指導の場合(1コマ80分~100分あたり)
1年目…3,000円 2年目…3,200円
3年目…3,300円 4年目…3,400円
〇講習指導の場合(1コマ90分として) 1日あたりで計算します。
×1コマ=3,500円 ×2コマ=6,500円 ×3コマ=9,300円
×4コマ=11,900円 ×5コマ=14,300円 ×6コマ=16,500円
〇その他の雑務 時給650円
時給に直すと、授業時給は1800~2550円という感じです。HZ会は、1授業いくらという算出方法なので、時給では考えにくいところもありますが(学年で1コマの授業時間が異なるため)。
アルバイト講師をしていたD君によると、通常指導と講習指導の算出法が違うことがかなり不満だったようです。
たとえば、通常授業の計算で、1日6コマ授業すると1年目でも18,000円になるところを16,500円と、1,500円も損してしまいます。講習は1日4コマ以上やりたくないと言ってました。
(2)R会の場合
〇集団クラス:通常指導・講習指導共通で
1年目…時給1,900~1,950円(地区によって異なる)
2年目以降…授業アンケートなどの評判に応じて、年間50~100円の時給アップ。
R会の授業1コマは、50分ないし80分です。授業の休み時間10分の生徒管理を加味して、50分→60分、80分→90分として算出します。
〇個別指導:通常指導・講習指導共通で
研修期間…時給1,100円 1年目…時給1,500円
2年目以降…授業アンケートなどの評判に応じて、年間50~100円の時給アップ。
ただし、研修期間は講師のレベルによって異なります。数か月でぬける者もいれば、1年以上かかる者もいるそうです。
〇授業研修費 1回1,000~2,000円(地区によって異なる)
ただし、初期研修は2~4回分までが支給限度(下手な者ほど研修が多いため)。その後は、全講師の集まる授業ミーティングごとに1回として算出。
〇その他雑務(テスト監督・採点業務など) 時給650~700円(地区によって異なる)
これらの数字だけ見ると、他業種に比べ“塾講師”のアルバイト給与はかなり優遇されているようにみえますが、それは表向きです。なぜかといいますと、
①授業準備費用(教材研究・プリント作成費・筆記用具代など)は、すべて給与に含まれるというのが、塾業界の一般的な考え方のため。
②授業コマ以外の個別的な質問対応は、サービス残業とみなすのが、塾業界の一般的な考え方のため。
③交通費に関しては、ほぼ自己負担のため(HZ会・R会双方とも)。
つまり、授業熱心で生徒の質問に常に答え、時には3~5時間もかけて1枚のプリントを作る熱心な講師の時給は、800円にも満たないのです。
かといって、授業以外は塾にかかわらずにフリーにすると、指導レベルの低下を招きます。そのため、教材研究・予習は必須事項なのです。
アルバイトとしてみた場合、“塾講師”にはコンビニ店員などとは異なり、私生活での拘束時間が莫大に必要なことが特徴です。自分の大学の授業を投げうって、生徒のために時間を割くことは当たり前にあることです。
むしろ、そういう講師を塾業界は評価します。次年度の時給アップにかかわるとはいえ、学生講師にとってリスクは大きすぎませんか。
そんな過酷な労働条件なのに、アルバイト学生講師には、自分を投げうって献身的に生徒に尽くす者が、なぜ多いのでしょうか。その話は、次回にて。
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