大手塾の話をする前に、私の塾時代のお話を少しさせてください。
私が勤めた塾は当時、本州大手塾FCで札幌市内に10教室程度を展開していた塾でした。
ある教室の責任者(室長)を任され、その教室の時間割・アルバイト講師の管理(給与管理も)と募集・その教室専用の広告の作成と宣伝・経理(未納費用回収も)・生徒管理(成績管理や生徒指導)・父母対応などの業務をしつつ、週当たり16時間程度の授業(集団&個別)も担当していました。
この塾の人事考課は、営利主義が前面に出た形で、社長自らが「社員は授業をやってる暇があるなら、生徒を確保してこい!」と会議で吠えるくらいですから、査定基準は生徒募集の数値が全てでした。
特徴的だったのは、単なる塾継続生の数の伸びだけではなく、月謝収支の伸びまで含めて査定することです。社員は、単に塾継続生数確保だけでなく、個人単価のアップにまで目を配っていました。
また、経理状態の是非も査定され、未納費用の多い教室の査定は厳しくなっていました。
幸い、私の任された教室は全体の中でも2番目の伸び率を示し、査定はおろか昇進にまで反映されました。おかげで社内のNO.3の地位まで得ることをできたのです。
しかし、好事魔多しと言うのでしょうか、体を壊して長期入院の羽目になった際、私の教室は他のものに任されてしまい行き場を失ってしまいました。結果、その塾をやめて自営の道を選択することになったわけです。
この塾の査定では、「たとえ授業が上手くても生徒を集められない社員は無能だ!」というあからさまにマネージメント重視の姿勢が貫かれていました。非常に極端な感じもしますが、今考えると営利を求める塾業界の姿勢が顕著に出ただけのことで、その基準で査定される方が社員にとっても、会社にとっても自然なことであったと思えます。
塾というところは未成年を対象とした教育を行うとはいえ、営利企業であることに変わりはありません。「利益を生み出す社員=優秀な社員」と査定するほうが意欲も増すわけです。
しかし、個人商店の集合体的な運営のこの塾と、大手3塾とでは同様の査定はできません。その他の要素として様々なことを盛り込んで査定していくのです。大手塾では、社員の人事考課(査定)をどのような基準で行うのでしょうか?
(1)HZ会の査定基準(2000年頃のものです)
1.業績査定・・・総本部から出される目標を達成したかどうか。
①講習参加数・・・管理者として講習生を何人集めたか
◎継続生○○人(参加率△△%)+一般生○○人(対前年比△△%)=講習参加数
◎本体○○人、付加メニュー(サマー特訓、正月特訓、理社攻略)○○人
②継続生在籍数・・・4月・9月・12月段階で継続生を何人にできたか
⇒社員が最も関心があるのは講習生を何人(何%)継続入会させられるか。
③授業アンケート・・・専任講師のアベレージ順位に対しどのくらい上回っていたか。
④担当業務の評価・・・名簿収集・未収金回収・経理や会員データ管理処理の精度など。
2.勤務評定・・・上司がその職員をどのように思っているか。
⇒自己記入欄・所属長記入欄・ブロック担当記入欄があった。
HZ会に勤務していたBさんによると、これらの項目の中で重視されていたのは①と②であって、③の授業アンケートに関しては、極端なマイナス評価でない限り重視されず、④も普通にやっていれば問題なかったようです。
また、勤務評定が重要な要素のようで、数値以外の上司の受けが査定にかなりかかわっていたようです。
HZ会の査定基準は、社員にも目標という形で告知されていることが特色です。「どうすれば地位や給与が上がるか?」が明確であるほど社員の行動意識は高揚させやすいからです。
アルバイト学生の目からは「社員は生徒集め以外関心がない。」と思われるほど、露骨に募集色が強く行動に反映する社員が多いのも事実でしょう。そのためなのか、HZ会でアルバイトしていた学生が就職先をS英予備校にしたケースもあったようです。
HZ会(おそらくS英も)は、教材製作を別部門で行っているので、社員はマネージメントに特化しやすい体質があります。HZ会で長きにわたって勤務した場合、マネージメント能力がかなりスキルアップするような気がしますね。
ただ、懸念を1つ申し上げるとしたら、社員の中から人気講師が輩出されにくい土壌があるような気がします。広告塔となるべき講師が、アルバイト学生に集中すると、長くて4年程度しか評判が取れないでしょう。しかし、授業力を大きく査定しすぎると経営サイドにはマイナス面が大きく持ち上がります。バランス的には仕方ないのかもしれません。
S英予備校のケースは、情報が乏しく想像の域になってしまいます。が、「週刊新潮の募集マニュアルの記事」などをもとに考察すると、やはり生徒募集が査定の大部分を占めるでしょう。私の勤めた塾と同様に「利益を生み出す社員=優秀な社員」と考えるとよいのではないでしょうか?
さてR会はいかに?そのお話は、次回にて。
------------------------------------------------------------------------------------------------
〇『塾・予備校ブログ』を応援よろしくお願いします!