今回は、A君の文による預かった新人の研修についてまずは記載します。
【A君の寄稿より②】新人社員研修と求めること
新卒者研修は本部で各地区本部の新卒者を集めて実施する。教務系スタッフと事務系スタッフは別日にするのが慣例。教務スタッフの研修内容は「授業力構築のためのステップ」「生徒管理」「集客力のある講師像」「地区本部業務の大まかな流れ」などである。
各地区本部においても新人研修は実施する。流れとしては、『①授業見学→②指導案作成(授業ノート)→③模擬授業』と考えてよい。その他、本部長・教務部長・教科主任を中心に雑務や報告形態について指導していく。
1年目の新人に求めるのは「不満が出ない程度の授業力」である。授業のコマに欠員が出ないことが第1で、そこそこの評判であればよい。
1年目の社員が生き残れるかどうかは夏期講習までである程度判別できる。夏期講習は、時間から時間で勤務しようとする者にはかなり過酷な労働条件、すなわち授業だけで9時間に他の雑務という業務なので、ひたむきな授業予習をする姿勢があるかどうかや自己研鑚力などが把握できるからである。
私の勤務していた地区本部は地域がら、教育大出身の新入社員が多く、教育実習を経ていた学生がいたわけだが、学校教員向けの指導をするつもりのものはまるで通用していなかった。謙虚に熱心な予習をし、自己研鑚をするつもりのないものは長続きしていない。そもそも自己犠牲の精神のない者はこの業界にはなじまない。
A君のいた大手塾に限らず、新卒研修はどこでも実施しているようです。ただ、6カ月研修や1年目研修などは大手3社によって対応はまちまちです。
A君のいた大手塾では新卒者には「生徒管理」について大きな要求はしません。まずは授業力を身につけなければ生徒は相手にしてくれないという会社としての考え方があるようです。「生徒管理」は2年目以降に重要となる業務なのです。
1年目の社員は、如何に生徒受けのする授業スタイルを構築できるかが業務のすべてと考えてよいようです。と言うより、ある程度の授業力を身につけられなければ塾業界に見切りをつけて転職すべきでしょう。
さて、求められる授業力は学校教員と塾講師を比較した場合、どちらがレベルが高いのでしょうか?
答えは、明らかに塾講師です。塾講師は商売ですから、サービス業としての質が高くなければ生徒は納得しません。学校教員の場合、質の悪い授業をしていたからと言って翌日から生徒が来なくなるということはありませんが、塾ではあり得ることなのです。
また、教科指導時間は、2章を読めばわかるように学校指導時間の半分以下という塾がほとんどです。その中で、指導を凝縮してほぼ学校に準じた進度を取れる塾はどれだけ指導が練られているかが想像できるでしょう。
指導で生徒から評価を取れるようになった塾業界の社員の中には、そこで勘違いするものが出てきます。「自分は学校教員以上の指導者なんだ。」と。
それゆえ、他業務を無視して生徒への教科指導に重きを置き、生徒募集やマネージメントを強いる上司と衝突を始めます。こういった者が、塾講師を聖職者と思いこみ始めるのです。生徒への自己犠牲が尊いとばかりに……。
A君の言う自己犠牲の精神とは、生徒へのためではなく会社へのものです。先生をやりたいと考えている者は、このギャップゆえに所属する企業体を離れる定めへと導かれます。
そのような経緯で塾業界を離れた者の中には、前職を否定(というより嫌悪)し、あからさまな非難をするケースがあります。自分が勘違いしていたことを棚に上げてです。私教育の立場で物事を考える私に限らず、塾関係者にとっても腹立たしいことでしょう。
次回は、本題からは離れますがそういう考えのある人物について(公人です)、お話しさせてください。
------------------------------------------------------------------------------------------------
〇『塾・予備校ブログ』を応援よろしくお願いします!