社員を募集する場合、大手各社ともまずは教育産業であることを意識して採用アピールをします。たとえば次のような感じですかね。(各社の採用情報参照)
○A社の場合:まずは教材研究・授業準備を十分にして、生徒が満足する授業を行うことができることが教師のMISSION。授業は、生徒の理解状況、あるいはその時々の気持ちを把握した上で進めます。生徒の状況をつかむ力、接客業としての感性が必要です。同時に、小学生・中学生・高校生は、人格を形成する上で最も大切な時期、彼らに、教師自身の世界観・人生観をバックボーンに勉学の大切さを熱く語ることが大切です。教師自身がそれまでに培ってきた総てをぶつけて生徒対応をしていかなくてはなりません。そうした“説得力”を持った人材であることが望まれます。
○B社の場合:学習塾の仕事とは、生徒を成績向上・志望校合格に導いたり、生徒の能力を高めるお手伝いをしたりといういわば生徒の「可能性を広げる」仕事です。 また結果として生徒に満足してもらい、喜んでもらえるという非常に恵まれたものです。 人を相手にする責任ある仕事で、それだけにやりがいと達成感があるとも言えます。 我々は今後も当社独自の教育サービスを通じて、多くの子どもたちの可能性を広げるお手伝いをしていきたいと願っています。
○C社の場合:学習指導はサービス業であるという視点に基づき、時代に即した「選ばれる塾」であるための進化です。しかし、どんなに時代が変化してもプロ講師という「人」の存在の大切さは変わりません。私たちが求める講師は、生徒と共に成長できることに喜びを感じられる人です。人に何かをしてあげたい。楽しませたい。その気持ちがある人は、もうすでに講師としての才能があると言ってもいいでしょう。あとはそれを実現するための技術を先輩から学んでいけばいいのです。私たちは、あなたの「やってみたい!」というチャレンジ精神を大切にします。
各社とも表面的に良心のある書き方をしているのは「教育産業は生徒のためにあるサービス業である」ということですかね。しかし、文面通りに募集に応じるとしっぺ返しを食います。
新人社員~2年目社員に求められるのは第1は「授業力」なのでそれは正しいでしょう。しかし、3年目以降は生徒をマネージメントする能力が問われます。そのことをしっかり触れて募集しているのはHZ会だけです。
【HZ会募集要項より】
生徒たちへの学習指導を行いながら、さまざまな本部運営業務も担当することが当社の教務系職員(専任講師)の特徴でもあります。 将来的には経営・マネージャーとしての資質も必要となります。
HZ会があえてこのような書き方をしているのは、他2社に比べてアルバイト講師の比率が高いからではないでしょうか。授業がうまいだけなら、アルバイト学生の方がレベルが高い教室もあるようで、社員は並みというケースもあるようです。
つまり、社員にはアルバイト学生の管理や生徒募集こそが主業務であることを提示して募集するわけです。その分、教師の代替職として勘違いして入社する新卒者に対するふるいにはなっているでしょう。
S英やR会グループでは、生徒管理を業務として重要視しているにも関わらず、このような内容には触れていないようです。それゆえ、入社後に授業だけを仕事と勘違いしていた者がギャップに苦しんでリタイアするケースがあるようです。
さて、終身雇用が崩れ去った日本社会では、塾業界を次のステップにする(スキルを身に付ける)ために勤務をする者も存在します。そういった者たちにとってはある時期まで勤務すればよいので、授業力を中心に研鑽する社員もいます。
そういった考えなら塾業界も悪くないでしょう。というか定年まで塾業界にいる方が異例です。授業力やマネージメント力を磨いた社員は、学校教員や個人塾オーナーに転身するケースが数多く存在します。3大手塾の場合、その傾向が顕著ですね。労働組合も存在せず過酷な勤務を強いられるケースが多いので、そのほうが賢明かもしれません。
なお、釧路のA会という塾の場合、珍しいことに労働組合があります。そのためか、50名程度の社員のうち、勤続年数が30年近いものが半数以上所属しています。この数字は塾業界としてはかなり異例です。その分、毎年の新卒採用は少ないようですが、あと8~10年もすると大量に定年退職する世代が中心ですから、その頃が入社のねらい目かもしれませんね。
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