もう一つの問題点とは、授業料です。各塾の授業料がどうであったかは第5章(34)をもう一度見直してから、今回の内容を読んでいただけると幸いです。
さて、どの塾でも最高レベルのクラスの月謝は月額30,000円以上に設定されています。非受験コースが10,000円台であるのに対し、3倍以上になっていることが中学受験コースの特色でしょう。
確かに、授業時間数は数倍なので妥当といえば妥当ですが、それにしても高すぎないでしょうか?というより、非受験コースは何故安いのでしょうか?
この点を各塾に疑問をぶつけた場合、返ってくる答えはおおよそ予想がつきます。
(1)指導の質が非受験コースのそれよりもはるかに高度であるので、授業料が割高になっている。
(2)非受験コースは、勉強の習慣や楽しさを身につけることを主眼にしているので、「合格」という名の目に見える成果を要求されていない。そのため、高く設定はできない。
とまあ、こんな感じでしょう。ただ、核心的な内容は聞いても答えてはくれません。
そもそも非受験小学生コースの存在意義は、中学生になった時に進級して塾継続生になって頂くことにほかなりません。小5、6のうちに塾はいいものだと生徒や保護者に感じてもらい、中1において核になる生徒を確保すること。更に、同級の父母に紹介を促すこと。それにつきるでしょう。
つまり、小5から塾継続生になった生徒からは5カ年授業料を絞り取ることを考えるわけです。最初は安くしておかないと、5年も続けて月謝を払ってはくれません。
また、小1~3の低学年コースを設定している塾も目的は長期的な継続生の確保です。非受験コースは、中学生への継続をさせるために設置されていると考えるのが妥当です。
しかし、中学受験コースは、合格後に継続するケースはまれです。これは生徒自身の問題ではなく、中高一貫校・附属中の学校側の問題と対応する塾側の問題です。
別章でもふれたように、中高一貫校では数学・英語の教科書が公立中学とは全く別物を使っています。数学は「数研出版=体系数学」、英語は「イエズス会出版=プログレス」を使うところが多いようです。附属中でも公立中学で採択しているものとは異なる出版社の教科書を採択しています。
「体系数学」は中2までに中学数学のすべてを終了させる編成になっていますし、「プログレス」は長文量が多く、Ⅳ以上になると英文科出身の講師でも訳に苦しむような難解なテキストです。このような特殊な内容では、大手塾の中学生コースの集団授業では全く対応できません。附属中においても、教科書の違いから英語・国語などの文章教材教科に支障が生じるため、集団クラスでの受講は不可能です。
ならば、それらの中高一貫校用のコースや附属中クラスを設定すればよいのでしょうが、2大手塾には全くその気がないようです。「どうしても必要なら個別部門へ!」というのが合格した生徒への対応です。
真摯に対応している塾はというと、「附属中受験コース」から「附属中クラス」への進級が可能なS英予備校と「私立中クラス」を設定している現役予備校TANJIくらいなものでしょう。特に、TANJIでは「体系数学」「プログレス」の教科書指導を受けられます。
個別指導部門を持っているHZ会やR会グループは、そのコースで対応可能と反論するでしょうが、別項目『01塾選び コツ “方法論”』にも記載しているように私立中や附属中の生徒にも集団クラス向きの生徒がいるのです。集団クラス向きの生徒が個別指導を受けた場合、逆効果となるケースがあるのです。
大手塾にとって、そのような事情で中学部への進級が期待できない中学受験コースですから「取れるうちに高額な授業料収入を得る!」とすれば、あのような授業料が算出されるのではないでしょうか?
さらに忘れてはいけないのは、年間の教材費・テスト費です。四谷大塚NETの「予習シリーズ」テキストをネットオークションで手に入れようとすると1冊でも3000円近くになることがあります。これを新品でフルセット買ったら、いくらかかるのでしょう?問題集をプラスしたら20冊以上になりますから、かなりの金額です。日能研も似たようなものです。
もしR会グループの四谷大塚NETコースを受講希望の方がいるのでしたら、ネットオークションで中古品を手に入れて、教材費減額の交渉をしてみたらいかがですか?
そして、毎週のように模擬テストを実施するとなったらテスト費はいかほどでしょう?広告に記載されていなかったのは、かなりの金額になるという暗示ではないでしょうか?
そういう面で考えると中学受験コースの費用に関してはHZ会が最も良心的かも知れません。ターゲット校も道内に絞っている分、無駄も少ないでしょう。