1か月にわたって掲載した“高校生指導は何処へ”も今回で最終話となります。最後に何を語るかというと、「塾高校部門のアキレス腱」についてです。
アキレス腱とはようするに『模擬試験』の存在です。学校間格差の大きい高校生にとって、各種の『模擬試験』は全国的な自分の学力を知ることができる唯一の機会です。
中3生に例えると、指導が上手な個人塾に在籍していても『北海道学力コンクール』をその塾で実施しなければ、自分の客観的実力を把握できず不安になるのと同じことです。各塾の模擬試験は、どんな対応をしているのでしょうか。
HZ会は、HPにおいて「情報は第6番目の教科」と謳っているにもかかわらず、統一した自社模擬試験は存在しません。S英予備校は、「S英実力テスト」「センター・記述・私大模試」を自社制作で実施しています。R会グループはいうまでもなく「東進模試」を実施しています。
しかし、これらの模試の受験者数はベネッセの「進研模試」や「代ゼミ模試」「全統模試」「駿台模試」などに比べたら圧倒的に少なく、合格判定資料として信憑性が乏しくなります。
現在、模試の存在しないHZ会を例に今後の展開を考えると、塾指導と模試の難しさが露見します。
●自社制作に踏み切った場合、中学生対象の「合格判定テスト」以上に問題作成の手間がかかる。
●自社制作しても、受験者数の大幅確保は望めない。また、受験者が北海道に偏る危険性が大きく、判定精度に影響を与えやすい。
となると、HZ会は模試業者と提携して模試を実施する以外方法はないはずです。しかし、HZ会がその方法を選ぶとは考えにくいですね。結局、模試なしの指導をせざるを得ないでしょう。
しかし、それでも仕方ないでしょう。というのは、中学と高校では模試に対するスタンスが大きく異なるからです。
北海道の中学校の場合、学校で実施する模擬テストは北海道教育文化協会製「学力テスト」のみです。このテストは、学校内の結果集計しかできません。それゆえに進学舎「北海道学力コンクール」やHZ会「合格判定テスト」のような塾テストが幅を利かせるのです。
高校生はというと、学校自体で「進研模試」や「代ゼミ模試」を実施するケースがほとんどです。その結果、合格判定資料は学校側に蓄積されていきます。生徒たちもそこで受ける模試で充分と考えるでしょうし、必要なら「東進模試」ではなく「駿台模試」「全統模試」などの予備校系模試を受けるでしょう。
つまり「塾指導&模試」というのは中学生的な発想に過ぎないのです。もともと中学生主体で発祥した北海道の大手塾、特にR会はそれに気づいていないような気がします。HZ会は、きっと模試を実施せずに塾指導を構築していくのではないでしょうか。
「アキレス腱」がなくても生きていくことはできます。されど、「アキレス腱」がなければ大きな自走はできません。
北海道の塾の高校生部門は、補完的な受験指導にのみ特化し、他社模試の合格判定分析さえできれば生きていけるとは思います。しかし、指導の主導はあくまでも高校であり、模試を主催する予備校であるのです。
今まで、道内大手塾が高校部門に力を入れなかったのは、自分たちが主導できないジレンマを抱えていたからなのでしょう。今後の変革は、もう少し様子を見てから考えることにします。よい方向へと進むことを祈りながら……。
第4章「高校生編」の愛読ありがとうございました。5月からは第5章「中学受験・小学生編」へと話題を変えていきます。