大手塾の中で、高校生部門が最も認知されているのは、おそらくS英予備校でしょう。S英の高校生部門(大学進学部)の展開は、北海道民にとって付録的な展開とは写らなかったためです。HZ会やR会グループが考え付かなかった発想で高校生部門を立ち上げました。
●小中学部進出の次年度に高校生部門を立ち上げたことによって、小中高と継続して通うことができるスタイルであることをイメージさせることに成功した。
●大規模な高校生専用教室を設立したことによって、付録的な展開ではないことをアピールした。
●代ゼミ隣接の教室展開も含め、授業システム自体が塾の延長線上ではないことを感じさせている(実状はともかく、広告的には印象付けに成功している)。
だからといって、成功するかどうかは別問題です。札幌を例にすると、JR駅北口一元化は、S英の中学部各教室に所属した生徒を1会場に集約できるという前提で成り立っています。
遠距離でアクセスの良くない地域からわざわざ通うかどうかは疑問です。札幌市内でも南区藤野・石山方面や清田区平岡・真栄方面からのアクセスは、北広島市・江別市にも劣ります。
それらの方面の会場の生徒たちにとって、わざわざS英大学進学部を選ぶ理由は乏しいでしょう。他の予備校(代ゼミ・駿台・河合)ほど指導内容が充実していない以上、魅力はあまり感じません。
R会グループが取り組む「東進衛星予備校FC」は、DVD視聴授業という小規模会場でも展開しやすい長所を持っています(そのため会場数が多い)。受講する生徒たちにとっても時間制約を感じずに指導を受けられるのも魅力でしょう。
しかし、中学部において臨場感あふれる集団授業を展開するR会グループの授業を受けてきた生徒にとって、個別指導的なDVD視聴授業は大きなギャップになります。R会グループの塾継続生は、他大手塾以上に塾依存度の高い生徒が多いのです。ようするに彼らが求めるのは集団授業なのです。
DVDをただ眺めるだけの授業は、生徒自身がしっかりとした学習意識を持たねば、単なる視聴会になり下がります。私が家庭教師で受け持っている生徒の一人もかつて「東進衛星予備校」に通っていましたが、DVDを見ながら寝てようが文句を言わない管理体制に呆れて数か月でやめたそうです。
また、TVに向かって質問もできません。そのために「東進衛星予備校FC」には運営塾がチューターを置き、質問対応をするシステムを取るのですが、R会グループにおけるチューターシステムは、個別指導「円周率」の教室管理者レベルでしかなく、あまり期待はできません。
いい例が4/21付の「道新求人情報」です。よほど社員繰りが苦しいらしく、室蘭地区の東進衛星予備校校舎担任の求人広告が掲載されていました。広告の文言に「教育業界未経験者大歓迎!」と書かれていること自体、教科指導を重視していない証拠です。
S英予備校やHZ会ではこのような馬鹿げた求人広告は間違ってもしないでしょう。そもそも新学期スタートの4月という時期に求人広告を出さねばならないこと(ちなみに函館地区の塾講師も同時募集)が、企業としての惰弱性を物語っています。だいたい、20万程度の月収で誰が好んで過酷な教育業界へと就職するというのでしょうか。いずれこの問題も取り上げます。
ところで、R会グループは北見・釧路では「東進衛星予備校FC」を展開せず、高等部の集団クラスを設定しています。その理由は、地元の他塾が「東進衛星予備校FC」をすでに開講していたためです(北見は志学会、釧路はあすなろ会)。
それらの地元塾の「東進衛星予備校FC」の評判は、R会グループより上です。2つの塾とも高等部の教務構築がもともとあったので、DVD授業は補完的な存在として活用し、チューターにしても質問対応力の高い人材を配置しています。また、集団授業希望の生徒は、そちらを選ぶこともできるのです。
私は、R会グループの高等部が最も危うく感じます。全く信頼できません。もし(株)ナガセが倒産したら、R会グループには高等部指導のノウハウは何一つ残らないからです。自塾での教務開発を怠って、他の私教育機関のシステムを丸抱えする塾が「未来を担う子供たちを育成する」などというお題目を唱えるなど、お門違いも甚だしいですね。