予備校にとっても、今は冬の時代になっています。2007年度以降の大学全入時代の突入は、既卒生の減少へとつながりました。そのため、大手の予備校でもM&Aや合併などの再編が起こっています。生き残るために予備校自体も必死です。既卒生から、現役高校生、はたまた中学生にまで市場を拡大し、生徒数を確保しようとしています。
塾とは逆に中学生指導を立ち上げた予備校にも、苦しみはあります。生徒のニーズが高校受験と大学受験では大きく異なるためです。予備校側には中学生指導のノウハウが欠如しているため、現役高校生部門ほどはうまくいきません。予備校と塾は、住み分けができているほうが正常なのかもしれません。
例えば、代ゼミなどの予備校の中学生部門は「やっぱり塾のほうがよい。」と考えて、他塾に入りなおすケースが多々あります。私が塾講師をしていた時も、代ゼミからの転塾生を何名か抱えていました。
中学生から信頼を受けている塾が、なぜ進級生をうまく取り込めないのか、普通に考えてもおかしくないでしょうか?
4章の取材中、はたと気づいたことがあります。現役高校生に対する私教育側の体制は、元々重要部門ではなかったのではないでしょうか。
予備校の主力ターゲットは既卒生です。対する塾は中学生です。本州では中学受験に特化した小学生対象の塾もあります。しかし、現役高校生のみに特化したまともな予備校や塾を聞いた記憶はありません(少なくとも北海道では)。
中学生よりも明らかに高度な内容を学習する高校生に対する学校外教育が発展しなかったのは、北海道の受験事情にも原因があるのではないでしょうか。例えば、次の理由はどうでしょう。
●大学受験率が全国平均よりも低い地域であったこと。
●部活動の熱心さが中学生の比ではなく、学校外教育を受ける時間がなかった。
●内申点至上主義の高校受験に対し、大学受験では学力点のみが求められる。そのため、わざわざ高1から塾などに行く必要を感じにくい。
●中学における通塾率の高さが、反動となって保護者・生徒両者に塾などに対する拒絶感を増長している。
●そもそも塾は小中学生のものという意識が父母や生徒に蔓延している。
以上の理由から、現役高校生は、教育産業の市場の中で長年エアポケットともいえる存在であり続けたのです。その結果がここ20年余りの塾・予備校の迷走へとつながったのではないでしょうか。ある意味、中学生偏重指導の塾の姿勢が、高校生の塾離れにつながったとすると皮肉な結果です。
そういった過去を清算し、今こそ各塾は高校部門に力を注ぐことが、企業としての正義感の表現につながるのではないでしょうか。
さて、北海道に展開する3大大手塾は今後どのような取り組みをしていくのでしょうか。その話は次回にて。