残念ながら、2008年度入試のデータは、これから合格発表となる時期ですので、昨年度の各地域別北海道大合格者の推移表をもとに、お話していきます。北大の昨年度入学者2644名中、道内出身者は1320名。ざっと49.9%の占有ですから、一頃に比べて、道内勢は健闘しています。さて、出身高校の地域別に比較すると、次のような結果となります。
(補足)14支庁のすべてで統一された統計データが存在しないため、正確な当時の高3生の人数は不明ですが、札幌市で18,400人、過疎化の進む空知支庁で3,400人という数値が出ましたので、ほぼ各地域人口の1%が受験対象の高3生の人数と考えて算出させていただきました。また、札幌日大付属高校(北広島市)・立命館慶祥高校(江別市)の2校に関しましては、生徒分布上、札幌市に含めております。
表をご覧になると明らかですが、札幌市内の高校出身者が北大合格者の3分の2を占め、近郊の石狩管内と合計するとほぼ70%を占める結果となります。これは受験人口から考えると、ほぼ2倍の値になっています。
確かに、地方の高校と比べれば、札幌圏の高校の指導能力は高めであると考えられます。また、北大は札幌市内にある大学ですから、札幌市からの進学者が多くなるのは当然でしょうし、地方では札幌へ進学するも、首都圏や関西圏に進学するも、実家から離れることに変わりないので、それほど北大志向が強くないという現状も理解できます。しかし、それを踏まえても、札幌市内生は50%程度占有が妥当なラインでないでしょうか?
そこで考えられるのは、大手塾の進学実績を上げるための進路指導との関係です。例年、HZ会、R会などの実績を合算してみると、地方から札幌圏の高校へ進学する生徒が200~300名存在している事実をご存知でしょうか。おそらく、石狩支庁からの合格者900名のうち、120~200名は他地域からの留学生が占めていると推測できます。
大手塾が「進学塾」であることを知らしめるには、地域の進学校の実績数だけではなく、札幌圏の有名公立・私立高校の実績数が大きな鍵になってきます。そのために、各地域の上位の生徒を、数多く札幌圏の高校を受験させ、進学させることが重要になるわけです。その結果、地方には最上位の学力をもった生徒以外が地域の1番手進学校へ出願することになります。
ただ、この札幌留学の現状をすべて否定するつもりはありません。例えば、根室高校・稚内高校のように、地域の1番手高でありながら、学力分布が幅広い学校(最低合格ライン入試学力点4~5割程度)なら、どう頑張っても1~2名の北大合格者を出すのが関の山でしょう。
それなら、進学指導のしっかりした札幌圏へ送り出すのもわかります。しかし、最低合格ラインが7割強の進学校のある地域であれば、そこまでする必要性は乏しいと感じます。
それぞれの地域の高等学校で、大学の進学実績を上げる努力はまったく惜しんではいないからです。先日、新聞にこのような記事が記載されていました。
“医学部受験支援9校決定 函館中部、岩見沢東、北見北斗を追加”
地域医療の担い手確保のため、道と道教委が2009年度からの本格実施を予定する道内高校生の医学部受験支援策で、道教委は7日、受験指導を強化する道立の「医進類型指定校」を、函館中部、岩見沢東、北見北斗を含めた計9校とすることを決めた。
これまで指定校として判明していた小樽潮陵、旭川東、室蘭栄、苫小牧東、帯広柏葉、釧路湖陵の6校に加え、「道内のすべての圏域で担い手確保を図る必要がある」(道教委幹部)と判断し、3校を追加した。
道教委は指定校をこの9校で確定させ、新年度予算案に1200万円を計上、支援策の一部を前倒しして実施する。このうち指定校の生徒による医療機関見学などには530万円を充てる。
指定校以外の生徒にも医学部への進学動機を高めてもらうため、3泊4日で医療現場を体験する「メディカルキャンプ」(310万円)や、各管内で医師の講演や出前講座(360万円)も行う。
受験指導の強化には、特に理数系教員の増員が必要となるため、「国の補助事業などが活用できないか検討中」(道教委幹部)で、各指定校での本格的な受験指導は2009年度からになる見通しだ。
出典: 『北海道新聞』2008年2月8日付
おそらく、これらの9校は、道に強く陳情したのではと想像します。これこそ、進学校の強い意志の1つの現われ方でないでしょうか。頼もしさを感じます。
ところで、上記の9校にはある共通点があります。それは、大手塾の進学実績のターゲットになる札幌圏以外の進学校であることです。
大手塾は、優秀な生徒を札幌圏に大量に送りこみつつ、地域進学校の実績数を積み重ねばなりません。そのため、本来は2番手の高校へ進学するレベルの生徒の得点力を引き上げる方策に出るのです。
