功罪①、②、③ではおもに札幌圏を中心にお話してきましたので、今回は他の地域についてみていきます。すべてを取り上げるとキリがないので、代表的な5地域の合格実績を見ていきましょう。
札幌圏で生活している私には、残念ながらHZ会の各地域の実績数値は正確に把握できません。というのも、冬期以降のチラシ広告やHP、受験雑誌のいずれを見ても単年度実績を発表していないからです。
HZ会には、消費者が同じ土俵で他塾と比較できるよう、HPなどに通年で道内の進学校単年度実績を掲載して頂きたいと私は要望します。
ただ、情報として北見北斗以外の4校の占有率が10%台、北見北斗に至っては7~10名程度しか合格者を輩出していないということは伝わってきています。つまり、札幌圏以外ではR会とのシェア戦争に大苦戦しているということでしょう。
という訳で、今回はデータ数値のはっきりしているR会を軸にお話していきます。
R会は、発祥の地である帯広での強さは抜群といってよいでしょう。有力な地元塾も存在しないので、まあ当たり前というところですね。他の地域も30~40%以上ですから、無類の占有率といってよいでしょうが、ここで3地区に絞って分析するとR会の抱える悩みが見えてきます。
(1)旭川地区
かつては旭東の占有率は50%強の時期がありましたので、「S英予備校」が開設1年にしてはかなり健闘しているといえます。
札幌圏では多くの塾との競合のため、思ったほどシェアを伸ばしていないS英ですが、旭川ではそのターゲットをR会のみに絞れる利点があります。R会が今後、この占有率を維持できるかどうかは疑問です。
(2)釧路地区
近年ようやく、占有率がNO.1になった地域です。1985年の開設以来、実のところR会は釧路地区にはそれほど力を入れていなかったと巷では言われていました。
というのは、釧路古参塾の「あすなろ会」がR会開設当初から釧路湖陵の占有率50%以上の塾であり、R会と大きく異なるカリキュラムや教室展開が地域で評判を得ていたためです。R会は、他地区のような本部集約型の教室展開を10年以上採れず、「あすなろ会」に迎合した形だったのです。
R会が本部型集約形式に転換し、ある程度シェアが伸びてきたころ、今度は「あすなろ会」が魅力的なカリキュラムを捨てて、R会スタイルへと転換してきました。その結果、組織力に勝るR会に占有率で逆転されたと思われます。
釧路地区の例から判断すると、HZ会など類似形態の塾にはまだまだ優位性をR会は保てるというところでしょう。
(3)北見地区
1990年の北見北斗高合格者占有率はほぼ70%であったことはご存知でしょうか。その急落の原因は、もちろん「志学会」の存在です。
「志学会」の代表田巻氏は、1992年まで「北見R会」の塾長であり、(株)Rの初代社長を兼任していた人物です。いわばR会グループのNO.2であった田巻氏が、R会グループ会長との方向性の違いからR会を辞し、北見地区のために1992年に創設した塾が「志学会」というわけです。
小規模の教室を展開せず、中心街に1会場のみを構え、「わかるまで、できるまで」を信条とした徹底指導を行う塾。その塾は、中学の3年間のみならず、高校進学後も面倒を見てくれます。そのためか、塾継続生の70%以上が、北斗および有名私立高校へ合格するハイレベルな塾として地域に根付いています。
R会の実績は、「志学会」の通学圏以外の旧留辺蘂町、美幌町の生徒を合わせて、ようやくあの数字なのです。
とまあ、いろいろな問題点がありながらも、R会の札幌圏以外での強さはなかなかです。この表にはありませんが、開設10年程の南空知地区で、かつてHZ会が70%の占有率を誇っていた岩見沢東高実績を抜き、ついに占有率50%を達成しています。
R会が今のところ成功をおさめている理由を考察すると、塾としての指導の素晴らしさが評価されたというより、競争相手のかかえる問題で伸びてきたという気がします。その理由として、私は次のように考えました。
●R会が本格的に道内展開を開始した1980年代中盤から後半は、HZ会が道外へ進出し始めた時期と一致すること。そのため、戦力を道外に注がざるを得ず、R会に対抗する体制を作れなかったのではないか。
●R会は、HZ会の方針をよく研究し、その弱点を自塾の利点とすべく、システムを構築したのではないか(国語指導の取扱いがよい例)。当時、HZ会がシェアを拡大していた地域ほど、その不満層を取り込みやすかった。
●月謝・諸費用がHZ会よりも低価格であった。後年、HZ会が低価格コースで対抗してきたが、逆にブランド価値を低下させることにつながったとの評価が多い。
→「あすなろ会」よりも割高感のあった釧路地区は、R会は逆に苦戦を強いられていたが、「あすなろ会」の方向転換により、その不利が解消されて実績が伸びた。
北見地区のように、地元に志のある塾(まさに志学会は適切なネーミング!)ある地区では、札幌圏を含めて苦戦しているのがその証拠でしょう。
しかし、ここ20~30年間、HZ会およびR会が北海道の塾業界のリーダーシップをとってきたのは紛れもない事実です。
皆さん、是非①~④を読み返してみてください。この2つの道内大手塾は共通して、次の方針で実績を作ってきていませんか。
- 地方の優秀な生徒を地元に進学させず、札幌圏の有名校(私立のみならず、公立の札幌東西南北なども含む)へと志願させて、進学塾のイメージを出す。
- 本来、1番手の進学校へ合格するのが難しい生徒に点数の取り方を指導し、上位高の実績数を厚くしていく。
その結果、札幌圏以外の教育現場に何をもたらしたか。その続きは次回お話しいたします。
