あと3日もすると、道内学習塾の最大イベント「北海道公立高校入試」が実施されます。静かに受験生を見守るならともかく、前日の新聞全面広告~入試早朝の受験生激励(ほとんど塾アピールです)~夕方の入試速報(HBC,TVh)を主催してのCM攻勢には、企業としてのすべてをかける塾側の姿勢が滑稽に思えてなりません。
そういえば、R会のSTVでの入試速報は数年前から取りやめになっていますね。局側とトラブルがあったのか、純粋に企業サイドの事情なのかは知りませんが、他のHPで解答速報を得られる時代ですから致し方ないところでしょう。
さて、札幌圏の中学生塾戦争は、今やHZ会・R会(Sセミナー)・S英とNSスクールがしのぎ合う形ですが、開設2,3年のS英と老舗のHZ会、Sセミナーの勢力分布は次のようになっています。
私ごとですが、このデータを作成するのには思いのほか時間がかかりました。というのは、3塾で取り上げた公立高校で実績が共通するのはこの5校のみという事実があったからです。開成、藻岩、北陵、国際情報、手稲、大麻、啓成などはHZ会は広告やHPなどで未発表です。Sセミナーはほぼ網羅していますが、S英もぬけがあります。
実は、HZ会に直接TELして問い合わせたことがあったのですが、教えてくれませんでした。つまり、合格者実績発表は都合の悪い高校は発表しないということなのです。まあ、入試合格者平均点が150点未満の高校で、占有率50%以上と叫んでも何の価値もないですけど、進学校という位置づけの高校はすべて発表するのが道理ではないでしょうか。その点だけではSセミナーの姿勢は立派です。
表の実績を額面通りに見ると、巷ではS英の飛躍が取りざたされていますが、まだまだHZ会強し!!というところです。札幌圏のような塾乱立地域では、1つの塾が合格者の占有率50%以上を占めることはほぼ不可能ですから、HZ会がいかに健闘しているかわかるデータです。
Sセミナーは南・北の実績が老舗の割にお寒い結果です。まあ、現状の第2、5学区に教室展開の重点を置いている以上仕方ないでしょう。S英もHZ会の教室規模の3分の1での結果としては上出来でないでしょうか。
しかし、それはあくまでも額面通りに見た結果に過ぎません。この合格者数には数々の問題や見解の相違があるからなのです。大手塾の合格実績は、会員数と銘打って発表していますが、会員とは「塾継続生+短期ゼミ参加生」のことを指します。実は、この会員の取り扱いが曲者なのです。
◎塾継続生のとらえ方:無論、継続授業を塾生として在籍して受講した者を指す。
- 中1~3のいずれかの時期にその塾に在籍していれば、塾継続生である。
- 中3の4月以降に在籍期間があれば、塾継続生である。
- 中3の12月まで在籍していれば、塾継続生である。
- 中3卒業時まで在籍していれば、塾継続生である。
※各塾での塾継続生はこの4つの見解に分かれますが、4を打ち出しているのは個人塾か『現役予備校TANJI』くらいなものです。
◎短期ゼミ参加生のとらえ方:短期講座参加生やテスト受験生を指す。
- いかなるテスト・講習(春期・夏期・冬期)・入試対策ゼミ・学力&定期テスト対策ゼミなどに中1~3に1度でも参加した生徒は、短期ゼミ生である。
- 講習(春期・夏期・冬期)・入試対策ゼミ・学力&定期テスト対策ゼミなどに中3に1度でも参加した生徒は、短期ゼミ生である。
- 中3の講習(夏期・冬期)・入試対策ゼミに参加した生徒は、短期ゼミ生である。
- 中3の冬期講習以降にゼミ参加した生徒は、短期ゼミ生である。
諸問題がおきるので、どの塾がどれを採択しているかは書きませんが、さまざまな見解が交錯するため、実績数を同一の基準で見ることは難しいということを御認識ください。
ただ、公正取引委員会の基準としては「塾継続生は中3以降で在籍」「10日未満の短期ゼミ生は実績外」というのがガイドラインのようです。
ちなみにS英は2007年1月に公正取引委員会から2006年度の高校入試の合格実績で短期受講生も含んでいたとして注意を受け、10日未満のゼミ(春期・入試対策ゼミが該当)を排除した実績に切り替えざる得負えなかったそうです(続き参照)。
各塾の基準が違うと、同一条件で合格実績を比較することほど無意味な作業はありません。作表した自分がちょっと情けなくなりました。それでも、目安には百歩譲ればならないこともないのですが……。
ところで、どの塾も共通して不合格者数(不合格率)は発表しないですね。1986年春にR会が一度試みたことがあり、他塾でアルバイトをしていた私もその時は感心しました。残念ながら、その後はR会でも立ち消えになっています。こういう広告こそ、塾の真摯な姿勢の象徴と思うのは私だけでしょうか。このHPをご覧になっている塾運営会社の方がいらっしゃいましたら、ご検討ください。
<短期受講生も合格実績でPR---S英予備校を公取委が注意>
静岡県や北海道などで学習塾を展開する「S英予備校」(静岡市)が、入塾案内のパンフレットなどに掲載する高校合格実績の中に短期受講者も含めていたことが分かり、公正取引委員会が、不当景品類及び不当表示防止法違反につながる恐れがあるとして、同予備校に注意していたことが分かった。
公取委は、1985年に私塾の業界団体に対し、8日間程度の短期講習のみや数回テストを受けただけの生徒数を実績に含めると、消費者の誤認を招く恐れがあるとの見解を示していた。今回は、短期の生徒を実績に含めないよう求めた。
S英予備校管理本部は「以前から短期講習の生徒もカウントしており問題ないという認識だったが、3月の発表からは公取委の基準に従う」としている。基準通りだと、「各県ごとで、10名未満程度実績が減少する見込み」という。
出典:『読売新聞』2007年1月15日
