3章『合格実績の功罪』編の前に、時期も旬ですから、春期講習の話題をしたいと思います。こんな章番号を挿入することをお許しください。
この原稿を書いている2月19日現在、大手3塾の広告チラシがようやく出そろいました。札幌圏の各塾のアピール内容と折り込み日をまとめると、次のようになります。
- 1/26、2/2、2/16…HZ会(春期講習&新学期)
- 2/16…S英予備校(新学期)
- 2/4、2/18…Sセミナー、R会Ynet(春期講習&新学期)
1月末にHZ会が『春期講習0円!!』チラシでまず切り込んできて、その動きを見極めたSセミナーが、『新学期申込みの方は春期講習は教材費だけ!!』と返す刀で切り返したというところでしょうか。
ところで、S英は新学期の募集だけの内容をB4両面に掲載し、春期講習に関しては一切ふれていません!誰もが疑問を感じる広告活動としか、言わざるを得ません。そこで、保護者のふりをしてS英本部に電話してみたところ「春期講習は、日程・費用とも検討中で、ご案内できるのは3月初めになります。」という、唖然とする回答が返ってきたのです。この回答からS英いや、大手塾全体の春期講習の位置づけがあからさまになってしまいました。
S英が北海道に進出する以前、各塾の春期講習費は、概ね以下の金額でした。
- 小学5、6年…9,000~12,000円(授業時間1.5時間×7日間+テスト2日)
- 中学1,2年…15,000円前後(授業時間2~3時間×7日間+テスト2日)
- 中学3年…20,000円前後(授業時間2~3時間×7日間+テスト2日)
この料金設定はわりと根拠がありました。春期講習は、夏冬に比べ、小5~中2は日程的に2/3の期間、中3は半分の期間なので、夏冬の講習費比率から算出された受講費になっていたのです。
ところが、S英が北海道進出時に、講習0円策を打ち出し、それに危機感を持ったHZ会も同様の策をとったことから、春期講習の価格破壊が始まったのです。保護者の皆さんにとっては、塾の指導を安い金額で受講でき、新学期指導を体験できる機会の増加となったわけですが、そもそも春期講習は、生徒さんにとって有益なのでしょうか?
わずか1週間程度で、どれだけの内容が指導できるかを考えると、おのずから答えは見えてきます。新中2、3は受ける価値はほとんどありません!英数でさえ4~5時間、国社理に至っては2~3時間で、前学年の復習を効果的にすること自体無理です。それは、小5、6も似たようなものです。唯一、新中1だけは各塾とも中学内容の予習を5月内容程度まで指導しますので、少しは価値がある程度です。
ましてや0円講習など、もってのほかです。入会テストがあり、塾継続生の上位層比率が高いS英ですら『講習にはタダだからとりあえず来た不熱心な生徒』がかなりの数、受講するのです。HZ会であればもっとその比率は高くなります。真剣に受講したい生徒にとっては、最悪な事態です。
わずか1週間程度の学習効果の低い春期講習を多くの塾が実施する理由は、『新学期生の新規募集を効果的に行うため』以外、まったく存在しません。塾にとって新学期スタートの塾継続生の数は、その年度の収益を大きく左右する大きな基盤となるからです。ようするに、授業をしっかりすることよりも、講習生のうち何名を塾に入れるかだけが社員講師の関心事なのです。
その年のベースアップにも大きな影響を与えますし、そもそも会社の収益が低下したら自らに火の粉がかかってきます。ですから、授業中に塾アピールばかりする社員講師も数多く見受けられます。「0円受講だから、募集活動に力を入れて何が悪いんだ。」と言いたげです。しっかりと受講費を受領していたころは、ここまでひどくはなかったのに……。
ところで、春期講習費減額の回収は、どうするのでしょう。その分は、継続授業の月謝に付加されていることにお気づきでしょうか。HZ会もR会グループも、2000年頃に比べて月謝が2000~5000円アップしています。年間通じてその分をカバーしているということです。まあ、春期講習費ががなくなって困ったのは、5月の賞与がなくなったR会グループの社員くらいでしょう(無論、減額分は6、12月にプラスされない)。
こんな内容ですから、夏・冬と学習してきた塾継続生にとっては、まったく価値がない講習なのです。ところが、塾側は塾継続生の受講率を下げない様に必死になります。たかが、テキスト代程度も惜しいというわけではなく、塾継続生を一般生を呼び込むネタにしたいからなのです。
塾を知らない一般生にとって、1人ぽっちで授業を受けるよりは、友人がいたほうが心強いというわけです。そんな学習塾の大人の事情によって、塾継続生も人身御供というか犠牲になっていくのです。
春休みくらい、新学年に向けた精神的リフレッシュの機会にしてあげるのが本当の大人の対応じゃないでしょうか?「大手塾よ、塾継続生ぬきで募集活動してみろ!!」と、私は声を大にして叫びたい気分です。
最後に、本気で春休みに勉強したいと思う生徒さんへ。自分の弱点を効果的に復習したいなら「短期家庭教師」か「個別指導塾」で指導を受けてみてください。
自らの本当に苦手な内容だけを抽出して、効果的に学習できますよ。昔の春期講習受講料くらいで、効果は数十倍になるでしょう。自分のことだけを考えてくれる先生(講師)が何よりも頼もしく思えますから。