さて、前回の学習塾の問題提起の続きです。北海道の大手塾の対象は90%中学生であることに、お気づきになったと思います。前回書かせていただいた内容に補足しますと、北海道の教育事情に次の問題点があったからです。
(1)大手塾が創業した30~40年前から10年前まで、受験を伴う私立中学(一貫校含む)がほぼなかったため。
→何を意味するかというと、小学生のうちは勉強より他の習い事(ピアノ・書道・スポーツ少年団etc.)をさせる親御さんがほとんどで、勉強は中学になってからでよいという考えが主導でした。当時の私立中学というと「藤女子中高」以外は全くと言っていいほど知名度はなく、女子はともかく男子は中学受験を意識する機会がなかったといってよいでしょう。
したがって、小学生対象の塾は大手塾ではメインにせず、「まあ、やってますよ。」程度の展開しかしてませんでした。この状況は、「北嶺中高」が台頭するまでかなりの長きに続きました。
(2)大手塾の創業前に大学受験予備校が地位を作っていた。
→現在はすべて全国ネットの予備校の系列下になりましたが、大手塾の創業当時、札幌には「札幌予備学院」「桑園予備校」の2校があり、大学受験指導はある程度リーダーシップをとる存在でした。
大学受験はある意味データ勝負ですので、道内にこだわった塾にはノウハウの構築が容易にできるわけがなく、重点を置きませんでした。
それなら、札幌圏以外で展開したらよかったのですが(特に帯広創業のR会!)、地域トップの進学校は旭川以外では、国公立大学+著名私立大学進学者が学年の40%未満という現状では商売として成立しないため、小学生同様、「まあ、やってますよ。」程度の展開しかしてませんでした。いや、地域によっては募集すらしていません。
(1)、(2)のことから、ようするに商売になるのは中学生しかいなかったのです。そのため、大手塾を含めた補習系塾集団は、公立高校合格とそのための内申点アップ指導へと特化することで業界をつくってきたのです。ここに、方向性の大きな問題点が将来的に内包していることに目をつぶって……。
何かというと、1980年代初頭にすでに叫ばれていた少子化問題(当時はチャイルドショックと言ってました)です。生徒数の減少が、企業収益の減少につながる塾業界は、ここで中学生だけではなく小学生や高校生に対しての指導を構築することにどの塾も目を向けませんでした。それが将来の弱体化につながっていくのです。
なお、誤解のないように記述しますが、大手塾以外の個人塾またはそれに近い塾はその限りではありません。「TANJI」のように一貫性のある指導力を構築した正しい塾もありました。経営的には厳しい時代もあったそうですが、丹治塾長が指導システムの構築に全力を注がれ、今では大手塾で対応できない学校の生徒にも受け皿のある総合進学塾へと進化しています。個人的には、北海道に残るのは「TANJI」のような志のある塾だけでもよい!なんて、考えるのは言いすぎでしょうか?